News & Medical Guide

お知らせ・医療ガイド

2023.05.19

お知らせ

小児眼科診療について

子どもの視力について

子供の視力の発達

生まれたばかりの赤ちゃんの視力は光やものの形がぼんやりと分かる程度です。
いろんなものを見ることによって視力は発達し、3~5歳前後で視力は0.8~1.0程度になります。視力が発達するにはものを見ることがとても重要であり、もし視力の発達の途中で
ものを見ることができない状態が続くと、弱視の状態となってしまいます。

 



 
 
 

子供の視力検査は何歳からできる?

大人と同じ輪の切れ目を使った視力表「C」は、個人差はありますがだいたい3歳くらいから検査できるようになります。当院では簡単な検査表(絵視力)もあり、お子さんに合わせて検査を行ってきます。
もしも検査ができなかったとしても、器械を使って遠視や近視の検査は可能なので眼鏡が必要かどうか判断することができます。
 
 
 
 
 

正視と屈折異常

正視:遠くも近くもはっきり見える

網膜の中心窩にピントが結ばれた状態のことを言います。
 
 
 
 

屈折異常

遠視:ぼんやりとしか認識できない

遠視とは、遠くのものを見た時にピントが網膜より後ろの位置に合っている状態のことを言います。遠視の眼は、程度にもよりますが遠くも近くもぼんやりとしか見えてないことが多いです。そしてピントを合わせるために調節という目に力を入れた状態にすると目に疲れを生じたり、読み書きが長続きしないため飽きっぽい性格になったりします。
ぼやけた状態で放置してしまうと視力の発達が止まって弱視になってしまうリスクがあります。

 

 
 
近視:遠くのものが見えにくい

遠くのものを見た時にピントが網膜より手前の位置で合っている状態のことを言います。
近くのものは見えますが、遠くのものが見えにくいです。近視はある程度強くても近くはハッキリ見えるので弱視になることはほとんどありません。
しかし近年、子供の近視化が進み問題視されています。近視が強いと大人になった時の病気のリスクが上がるので、近視の進行を助長しないよう注意が必要です。
   

当院では近視の進行を予防するための目薬や、夜付けるコンタクト(オルソケラトロジー)を起用し近視の進行抑制治療を行っております。

 
 

 
乱視:ピントが合わず歪みやダブりを生じる

乱視とは距離に関係なく物が網膜上で一点にピントが合うことがない状態のことを言います。
角膜の縦と横のカーブがラグビーボールのように差があることが原因で歪みやダブりが生じます。乱視は成長によって変化することはほとんどありません。
乱視の眼は全体的にぼんやりと見え、遠視と同様に眼が疲れやすいです。ある程度強い乱視の場合、放置してしまうと発達が止まってしまいこちらも弱視となるリスクがあります。
 
 
 
 
 
 

子供の近視について

近視とは、近くを見るときにはっきりと見えますが、遠くを見るときにはっきりと見えなくなる状態です。近視は遺伝的要因と環境的要因の組み合わせによって引き起こされると考えられています。両親が近視の場合、子供も近視になる可能性が高くなります。環境的な要因としては近くを見ることが多く、逆に屋外での活動が少なく遠くを見ることが少ないなどの環境が挙げられます。子供〜若年者を中心にスマートフォンによる目のトラブル、特に近視の有病率が近年急激に増加していることが社会問題になっています。最近では幼児期からスマートフォンやタブレット端末をみる機会も増えてきているので、3割以上のお子さんが小学校に入学したときには既に視力1.0未満に低下しています。また、スマートフォンの使いすぎは、目だけでなく頭痛や肩こり、睡眠障害などの原因にもなります。  
近視が強くなりすぎると「眼軸」という目の長さが長くなり、それに伴って網膜が薄く引き伸ばされてしまうため、将来的に網膜剥離や黄斑変性などの病気になりやすくなります。

一旦、近視になると改善するのは今の医学では難しく、まずは近視にならないよう長時間のスマートフォンやタブレット端末の使用を控える必要があると思います。本を読んだりする際もなるべく明るく見やすい環境にして、目を近づけすぎないようにすることが大切です。また、屋外での活動を増やして、遠くを見るようにしてください。一旦、近視になってしまった場合は適切な眼鏡やコンタクトレンズを使用する必要があります。

 

子供の過矯正問題

過矯正とは、眼鏡の度数が本来必要な度数よりも強くなってしまう現象のことを言います。
過矯正の眼鏡をかけることは、眼球が常に緊張している状態となるため、目の疲れや頭痛の原因となります。また眼位にも影響することがありますので、子供さんの眼鏡処方は眼科で行うことをお勧めしています。眼科では、子供さんの眼の状態を正確に評価し、子供さんの目の変化に応じて適切な度数の眼鏡を処方することができます。
眼科で度数を決定後は眼鏡処方箋をお出ししますので、その処方箋を持参して信頼のおける眼鏡屋さんで眼鏡を作成されてください。
 
 
 

コンタクトレンズについて

コンタクトレンズを使用する際には、適切な度数のレンズを選ぶことが重要です。度数が合わないコンタクトレンズを使用すると、視力に影響が出たり、目が疲れたり不快感に繋がる可能性がありますので注意が必要です。また、ファッションアクセサリーとしてカラーコンタクトを装用することがあると思いますが、医療用に作られていないカラーコンタクトは感染対策や目のことなどを考えずに作られていますので、装用することで失明に至るような重大な感染や目のトラブルを引き起こすことがあります。安易な装用には注意が必要です。

コンタクトレンズはデイリーディスポーザブル(1日使い捨て)や2週間使い捨てのコンタクトレンズなど交換スケジュールの違う様々なコンタクトがあります。適切な交換スケジュールを守ることで、汚れや細菌の危険を防ぎ、目の感染や炎症のリスクを軽減することができますます。度数以外にもコンタクトレンズを選ぶ際には、カーブ、保水性、酸素透過性など様々な要素を考慮する必要があります。自分に合ったコンタクトレンズを選ぶことで、快適で安全に使用することができます。レンズの使用による目のトラブルや合併症の早期発見と治療ができるため、定期的な眼科の診察は非常に重要です。痛み、赤み、かすみ、違和感などの症状がある場合は、症状が悪化する前に専門家のアドバイスを仰ぎましょう。早期の診断と適切な治療により、より深刻な合併症を予防することができます。
 
 
 

夜つけるコンタクト、オルソケラトロジー

オルソケラトロジーとは、寝ている間に特殊な形状をしたレンズを装用する事で角膜の形状を平坦化して、近視を矯正する方法です。 
朝起きてレンズを外した後も一定時間角膜の形が保持され、日中はコンタクトレンズやメガネを装用せずに裸眼で生活することが可能です。また、「近視抑制効果」も注目されており、近視が進行している小児のみなさまへの更なる治療効果が期待されております。
 
 
オルソケラトロジーの詳しい説明に関しましてはこちらになります。
 
 
オルソケラトロジーは予約制となっておりますので、ご予約をお願いいたします。
 
 
 
 
 

弱視について

弱視とは、眼鏡やコンタクトレンズで矯正しても視力が十分に出ない状態のことを言います。裸眼視力が悪くても、眼鏡やコンタクトレンズで矯正すれば1.0以上になる場合は弱視とは言いません。
 
 

弱視の種類と原因

弱視は主に以下の4つの原因があります。
 
  • 屈折異常弱視
    両眼に強い屈折異常(遠視・近視・乱視)があると、ものがはっきりと見えないため視力が発達せず弱視になる場合があります。最も多いのは遠視ですが、強い近視や乱視でも生じます。
  • 不同視弱視
    片眼に強い屈折異常(遠視・近視・乱視)があると、その眼はものがはっきりと見えないため視力が発達せず弱視になる場合があります。
  • 斜視弱視
    斜視になっている眼を使わないため、使わない方の眼の視力が発達せず弱視になる場合があります。
  • 形態覚遮断弱視
    先天性の白内障や眼瞼下垂、また眼帯装用などで片眼または両眼に光が入らない状態が続くと視力が発達せず弱視になる場合があります。
 
 

弱視の検査

診断をするためには、視力検査・屈折検査・斜視検査を行い、必要に応じて目薬を使った検査も行います。その後、医師による診察で眼の中に病気がないか確認し、弱視かどうか診断します。
 
 

弱視の治療

弱視の治療方法は、種類によって治療方針が異なります。
 
  • 屈折異常弱視
    原因となる遠視や乱視を矯正するような眼鏡を作ります。
  • 不同視弱視
    原因となる遠視や乱視を矯正するような眼鏡を作ります。その後、視力が良い方の眼をアイパッチで隠して、弱視になっている眼をたくさん使う訓練をします。
  • 斜視弱視
    遠視や乱視があれば眼鏡を作ります。その後、視力が良い方の眼をアイパッチで隠したり、必要に応じてプリズム眼鏡を処方して、弱視になっている眼をたくさん使う訓練をします。
  • 形態覚遮断弱視
    原因となる白内障や眼瞼下垂の治療を行った後、必要に応じて眼鏡を作り、視力の左右差があれば視力が良い方の眼をアイパッチで隠して、弱視になっている眼をたくさん使う訓練をします。
     
 
 
以上のような治療を行いますが、弱視を治療できる年齢には限界があり一般的に8歳くらいまでとされています(不同視や屈折異常の弱視は12歳くらいまで)。
可能なうちにしっかりと治療しなければなりません。また、治療の効果は数ヶ月から数年かかる場合もあり、頻繁で長期にわたる通院が必要になります。 
 
 
 

斜視について

斜視とは、ものを見る時に片方の眼は正面を向いていても、もう片方の眼が違う方向を向いてしまう状態のことをいいます。両眼の焦点が合わず、遠近感もつかみにくくなります。人によっては、ものが2つに見える場合もあります。斜視は子どもの2%くらいにみられます。
 
 

斜視の種類

斜視は、下の図のように眼がずれる方向によっていくつかの種類に分けられます。
 

 
この中で、子どもに最も多いのは外斜視と内斜視です。代表的な3つの斜視を紹介します。
 
  • 間欠性外斜視
    片方の眼が時々外側にずれる状態を言います。ボーっとしている時や遠くのものを見ている時などに外斜視が出やすく集中して見ている時にはあまり斜視はみられません。生後すぐからみられる場合もあります。原因はよくわかっていません。
  • 調節性内斜視
    遠視が原因となって起こります。生後半年〜3歳くらいの間で発症することが多いです。遠視の子どもみんなに起こるわけではありません。
  • 乳児内斜視
    生後6ヶ月くらいまでに発症する内斜視です。原因はよくわかっていませんが、調節性内斜視とは異なって遠視が原因ではありません。
 
 
 

斜視の原因

  • 眼の筋肉や神経などの異常
  • 遠視
  • 視力不良
 などが考えられます。
 
 

斜視の検査

斜視を診断するためには、視力検査・屈折検査を確認した後、いろいろな検査器具を使って詳しい斜視の検査を行います。黒目がきちんと動くかどうかや、遠視や近視の眼鏡で斜視が良くなるかどうか、また両眼で見た時に立体的にものを見ることができるかなど調べていきます。必要に応じて目薬を使った検査も行います。
 
 
 

斜視の治療方法

まず、必要であれば眼鏡を作ります。プリズムといって両眼の視線を合わせやすくするようなレンズを用いて治療することもあります。
適応であれば訓練や手術という方法もあります。
 
 
家庭で弱視や斜視を見つける方法  
  • 目つきが悪い
  • 向かい合っても目が合わない
  • 片眼をつぶってみる
  • 顔を傾けてみる
  • 片眼を隠すととても嫌がる
  • テレビや絵本をかなり近づけてみる
  • 眼が揺れている
  • 空を飛んでいる鳥や飛行機が見えない
     
弱視・斜視は早期治療により予後が大きく異なります。3歳児健診で検査を受けることはとても重要ですが、子どもと一緒にいる家族が普段の生活から眼をよくみてあげることで、より早期発見につながります。家庭で上記のような症状がみられる場合には弱視や斜視の可能性もあるため一度眼科受診をおすすめします。


※弱視や斜視の検査に関しましては、お電話による予約制となっております。
大人の方も斜視の検査に関しましてはお電話のご予約をお願いいたします。

 
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