黄色〜白色の盛り上がり
「白目に黄色いできものがある」 「白目の一部分だけ盛り上がっている」 ということで気付く場合があります。
Disease
目の病気と治療
白目の鼻側や耳側に、黄色〜白っぽい小さな盛り上がりが見えることがあります。 これは「瞼裂斑(けんれつはん)」と呼ばれる結膜の変化で、 多くは良性です。一方、その周囲が赤くなり、ゴロゴロする、 しみる、痛むなどの症状が出た状態を「瞼裂斑炎」と呼びます。
瞼裂斑は、眼球の表面を覆っている「結膜」に生じる、 黄色〜白色の少し盛り上がった変化です。 多くは黒目である角膜のすぐ横、特に鼻側にみられますが、 耳側に生じることもあります。
病理学的には、結膜上皮下の組織に硝子化や 弾性線維様の変化が生じることが知られています。 一般的には良性の変化で、症状がなければ 治療を必要としないことも少なくありません。
「白目に黄色いできものがある」 「白目の一部分だけ盛り上がっている」 ということで気付く場合があります。
瞼裂斑があっても、痛みや視力低下などの 自覚症状がない方も多くみられます。
まぶたを開けたときに露出している白目の部分、 とくに鼻側にできることが多い変化です。
組織学的には、長期間の環境曝露や加齢などと関連する 結膜組織の変化が認められています。
瞼裂斑の原因を一つに決めることはできません。 これまでの疫学研究では、特に 加齢と屋外活動・日光曝露との関連 が繰り返し報告されています。
屋外活動時間が長い集団ほど瞼裂斑が多いという 複数の疫学研究があります。 紫外線は重要な関連因子の一つと考えられています。
瞼裂斑は年齢とともに頻度や程度が増加する傾向が 国内外の研究で報告されています。
眼表面が長期間外界へさらされることも 関係すると考えられていますが、 紫外線や年齢ほど確立したデータが十分にあるわけではありません。
中国・上海郊外の50歳以上を対象とした人口ベース研究では、 瞼裂斑の年齢調整有病率は75.6%と報告され、 年齢と1日2時間以上の屋外勤務が独立した関連因子でした。
一方、スペインの40歳以上を対象にした研究では 有病率47.9%と報告されています。 この違いからも、年齢構成、地域、紫外線量、 職業・生活環境などによって頻度が変わることが分かります。
したがって、特定研究の有病率をそのまま 「日本人の何%にある」と当てはめることはできません。
瞼裂斑の組織では、 結膜上皮下に異常な弾性線維様物質が蓄積する変化が知られています。 こうした変化は、長期間紫外線を浴びた皮膚でみられる 光老化の組織変化との類似性が研究されています。
瞼裂斑では、正常な結膜とは異なる 弾性線維様物質や結合組織の変化が認められます。
日本からの病理研究では、 瞼裂斑組織にD-β-アスパラギン酸を含む蛋白が確認され、 加齢や紫外線との関連が考察されています。
疫学・病理学の両面から紫外線との関連は支持されていますが、 加齢や眼表面環境など複数の要因が重なって形成されると考えるのが妥当です。
もともと存在している瞼裂斑に炎症が起こり、 病変とその周囲が充血した状態を瞼裂斑炎と呼びます。
白目全体ではなく、瞼裂斑の周囲を中心に 限局した充血が目立つことがあります。
異物感、しみる感じ、涙が出るなど、 眼表面の刺激症状を伴うことがあります。
炎症を起こした瞼裂斑の近くに、 角膜上皮障害がみられる場合があります。
瞼裂斑炎患者32人を調べた研究では、 炎症を起こした眼の72%で鼻側角膜に 点状上皮障害または上皮欠損が認められました。
また、炎症眼だけでなく反対眼でも、 健常対照群と比べて涙液層破壊時間などが低い傾向が報告されています。 この結果は、瞼裂斑炎では赤くなった結膜だけでなく、 涙液と隣接する角膜表面も評価する意義 を示しています。
ただし32例の比較的小規模な研究であり、 「ドライアイが必ず瞼裂斑炎を起こす」 という因果関係を証明したものではありません。
瞼裂斑の隆起が大きい場合、 その周囲で涙の膜が均一に広がりにくくなり、 局所的な乾燥や異物感に関係する可能性があります。
ただし、瞼裂斑がある方の乾燥症状を すべて瞼裂斑だけで説明することはできません。 涙の量、涙液の安定性、マイボーム腺、 角膜上皮、点眼薬、コンタクトレンズなども合わせて評価します。
突出した瞼裂斑30眼を対象とした後ろ向き研究では、 切除3か月後に涙液層破壊時間、Schirmer検査、 ドライアイ症状などの改善が報告されました。
一方、この研究は30眼という小規模な後ろ向き研究で、 手術対象となった選択された患者群です。 この結果だけを根拠に、 「瞼裂斑を取ればドライアイが治る」 と考えることはできません。
「瞼裂斑が大きくなったら翼状片になるのでしょうか?」 という質問があります。 両者には紫外線など共通する関連因子がありますが、 診察では別の病変として区別します。
| 比較 | 瞼裂斑 | 翼状片 |
|---|---|---|
| 主な場所 | 白目の結膜 | 結膜から角膜へ伸びる |
| 見た目 | 黄色〜白色の隆起 | 三角形状の組織 |
| 角膜への進入 | 通常はしない | する |
| 視力への影響 | 通常は直接大きく影響しにくい | 進行すると乱視や視力低下の原因になることがある |
| 主な対応 | 無症状なら経過観察が多い | 進行度や症状によって手術を検討 |
黒目の方向へ組織が伸びている、 乱視や視力への影響が疑われる場合には、 翼状片について詳しく確認します。
白目の黄色い部分が目立つ場合や、 同じ場所を繰り返し充血する場合でも、 見た目だけで瞼裂斑・瞼裂斑炎と決めつけることはできません。
白目から角膜側へ三角形状に組織が伸びます。 進行すると乱視や視力低下に影響することがあります。
白目に透明〜半透明の袋状の隆起として 見えることがあります。
白目の局所的な充血を生じます。 特に強膜炎では深い強い痛みを伴うことがあります。
かゆみが強く、両眼に症状が出る場合には アレルギー性結膜炎も考えます。
白目が鮮やかな赤色になりますが、 瞼裂斑炎とは見え方が異なります。
強い痛み、まぶしさ、視力低下を伴う場合は、 角膜炎など別の病気を除外する必要があります。
治療は、瞼裂斑があるかどうかだけでなく、 炎症の程度、乾燥、角膜の状態、 症状の強さなどによって判断します。
1999年の前向き無作為比較試験では、 炎症を起こした翼状片または瞼裂斑50例に対して 非ステロイド性抗炎症点眼とステロイド点眼を比較し、 両群とも14日までに症状・所見の改善が報告されました。
ただし、瞼裂斑炎だけを対象とした大規模試験ではなく、 古い比較的小規模な研究です。 現在の患者さん一人ひとりの治療薬を この研究だけから決めることはできません。
症状のない一般的な瞼裂斑は、 必ずしも切除する必要はありません。
一般には、
などの場合に外科的治療が検討されることがあります。
疫学研究では屋外活動・紫外線曝露と瞼裂斑との関連が 繰り返し報告されています。 そのため屋外では、眼への紫外線曝露を減らすことは合理的です。
屋外で長時間過ごす場合は、 UVカット機能のある眼鏡やサングラスを利用します。
つばのある帽子なども、 顔や目周囲へ直接当たる日光を減らす方法の一つです。
強い風や粉じんなどで眼表面が刺激される環境では、 保護眼鏡なども検討します。
紫外線との関連を示す疫学研究はありますが、 サングラス使用によって瞼裂斑発症を確実に防げることを 証明した十分な介入研究があるわけではありません。
白目の黄色い隆起や局所的な充血がある場合には、 「瞼裂斑がある」という一点だけで診断を終えるのではなく、 症状に応じて周囲の眼表面も確認します。
病変の大きさ、隆起、色、 周囲の充血などを確認します。
角膜側へ組織が伸びていないかを確認し、 翼状片などと区別します。
角膜上皮に傷や炎症がないかを確認します。
乾燥感や異物感がある場合には、 涙液の状態も確認します。
強い痛みがある場合は、 上強膜炎・強膜炎など別の炎症も考えます。
レンズによる摩擦や角膜障害が 症状に関係していないか確認します。
瞼裂斑では白目に黄色〜白色の少し盛り上がった変化がみられます。 ただし、結膜嚢胞、翼状片、そのほかの結膜病変などもあるため、 見た目だけで自己診断することはできません。
典型的な瞼裂斑は良性の結膜病変です。 ただし、急に大きくなる、色や形が変化する、 出血するといった非典型的な変化がある場合には、 他の結膜病変との鑑別が必要です。
一般的な瞼裂斑は通常角膜中央へ伸びないため、 それ自体が直接大きな視力低下を起こすことは多くありません。 見えにくさがある場合は、ドライアイ、角膜疾患、 白内障など別の原因も確認します。
瞼裂斑炎を繰り返している可能性があります。 一方、上強膜炎・強膜炎、ドライアイ、 角膜障害などでも局所的な充血を生じます。 繰り返す場合は眼科で原因を確認してください。
点眼治療は主に乾燥感や炎症などの症状を 改善するために行います。 すでに形成された隆起そのものを、 一般的な点眼薬だけで消失させる治療とは異なります。
瞼裂斑と翼状片には共通する環境因子が考えられますが、 「瞼裂斑が必ず翼状片になる」という意味ではありません。 黒目側へ組織が伸びる場合は翼状片などを確認します。
病変の盛り上がりや炎症がコンタクトレンズと干渉し、 異物感を強くする場合があります。 充血や痛みがあるときは無理に装用を続けず、 角膜に傷がないか確認してください。
瞼裂斑炎という名称は、瞼裂斑周囲に炎症が起きた状態を指し、 それ自体が細菌感染を意味するわけではありません。 感染性角膜炎など別の病気との鑑別が重要です。
瞼裂斑は多くの場合良性ですが、 炎症を繰り返したり、強い痛みや見えにくさを伴ったりする場合は、 瞼裂斑だけでなく角膜・結膜・強膜・涙液の状態も確認することが大切です。
福岡市中央区小笹の有田眼科では、 白目の盛り上がり、充血、異物感、乾燥、痛みなどについて 眼科診察を行っています。
本記事は一般的な医療情報を提供するもので、 個々の患者さんの診断・治療を決定するものではありません。 症状や診察所見に応じて治療方針は異なります。