「血液サラサラの薬を飲んでいるから、
白内障手術はできない」とは限りません
心筋梗塞、脳梗塞、心房細動、冠動脈ステント、 深部静脈血栓症などの治療や再発予防のため、 抗血小板薬・抗凝固薬を服用している方は少なくありません。 白内障手術を予定するときに大切なのは、 「薬を飲んでいるか」だけではなく、 何の病気を防ぐために、どの薬を、どのような理由で使用しているかを確認することです。
薬を止めることにも、心筋梗塞、脳梗塞、 ステント血栓症などの危険が伴う場合があります。 継続・変更・休薬の必要性は個別に確認します。
「血液サラサラの薬」には、大きく2つのグループがあります
患者さんが「血液サラサラの薬」と呼んでいる薬には、 主に抗血小板薬と抗凝固薬があります。 作用する仕組みや、薬が必要な病気が異なるため、 白内障手術前には薬剤名まで確認します。
血小板が集まって血栓を作る働きを抑えます
主に動脈でできる血栓を防ぐ目的で使用されます。 心筋梗塞や脳梗塞の再発予防、 冠動脈ステントを留置した後などに処方されます。
アスピリン、クロピドグレル、プラスグレルなど
血液が固まる仕組みそのものを抑えます
心房細動による脳塞栓症の予防や、 深部静脈血栓症・肺血栓塞栓症、 人工弁などで使用されます。
ワルファリン、アピキサバン、エドキサバン、 リバーロキサバン、ダビガトランなど
ジェネリック医薬品では商品名が異なることもあります。 お薬手帳、薬剤情報提供書、薬そのものが入った袋など、 薬剤名を確認できるものを受診時にお持ちください。
なぜ「手術だから薬を止める」と自己判断してはいけないのでしょうか
抗血栓薬を服用している患者さんの手術では、 「出血を増やさないこと」だけを考えるのではありません。 薬を止めた場合に起こり得る血栓症と、 薬を続けた場合に起こり得る出血の両方を考えます。
薬を止める側のリスク
- 心筋梗塞
- 脳梗塞・脳塞栓症
- 冠動脈ステント血栓症
- 深部静脈血栓症
- 肺血栓塞栓症
何の病気を防ぐために薬を飲んでいるのかによって、 中止した場合の危険度は大きく異なります。
評価
薬を続ける側で確認すること
- 予定している眼科手術の内容
- 使用する麻酔方法
- 出血しやすい病気がないか
- 他の抗血栓薬も併用していないか
- 追加処置が必要になる可能性
白内障手術以外の処置を同時に行う場合などは、 別の判断が必要になることがあります。
薬剤の種類、腎機能、服用理由、 心筋梗塞や脳梗塞を起こした時期、 冠動脈ステントの留置時期、 予定する手術内容などによって異なります。 当院または処方医から具体的な指示があるまで、 普段の薬を自分で変更しないでください。
薬の名前と同じくらい、「なぜ飲んでいるか」が重要です
同じ抗血栓薬でも、 服用している理由によって薬を中断した場合の危険性は異なります。 白内障手術前には、処方の背景まで確認します。
冠動脈の治療歴を確認します
心筋梗塞や狭心症の治療後には、 再発を防ぐ目的で抗血小板薬が処方されることがあります。 冠動脈ステントを留置している場合は、 いつ治療を受けたかも重要です。
ステントを入れた時期と抗血小板薬の数を確認します
ステント治療後には、 一定期間2種類の抗血小板薬を併用する場合があります。 特に治療から時間があまり経っていない場合は、 循環器内科との連携が重要です。
脳塞栓症を防ぐための抗凝固薬
心房細動では心臓の中に血栓ができ、 それが脳の血管へ流れて脳塞栓症を起こすことがあります。 その予防としてワルファリンやDOACが使用されます。
脳梗塞の原因によって使用薬が異なります
動脈硬化性の脳梗塞では抗血小板薬、 心房細動による脳塞栓症では抗凝固薬など、 原因によって薬剤が異なります。 発症時期や再発歴も確認します。
血栓症を起こした時期を確認します
足の深い静脈にできた血栓が肺へ流れると、 肺血栓塞栓症を起こすことがあります。 治療開始からの期間や再発歴などを確認します。
弁の種類を必ず確認します
特に機械弁では血栓を防ぐために 長期の抗凝固療法が必要になる場合があります。 人工弁の種類や循環器内科からの治療方針を確認します。
白内障手術前に有田眼科で確認したいこと
「薬を飲んでいます」と伝えていただくだけでなく、 次の情報があると、より正確に手術前の確認ができます。
① 薬の正式名称
アスピリン、クロピドグレル、 ワルファリン、DOACなど、 実際に服用している薬を確認します。
② 1剤か複数か
抗血小板薬を1種類使用しているのか、 2種類併用しているのか、 抗凝固薬も併用しているのかを確認します。
③ 服用理由
心房細動、脳梗塞、心筋梗塞、 冠動脈ステント、血栓症、人工弁など、 薬が必要になった理由を確認します。
④ いつ治療を受けたか
心筋梗塞や脳梗塞の発症日、 ステントを留置した時期、 血栓症を起こした時期などを確認します。
⑤ 処方している医療機関
循環器内科、脳神経内科、脳神経外科など、 薬を処方している主治医と連携が必要かを判断します。
⑥ 出血に関係する病気
血小板減少、肝疾患、出血しやすい病気、 過去の大きな出血などがないかを確認します。
「白い錠剤」「朝に飲む薬」といった情報だけでは、 薬を正確に特定できないことがあります。 お薬手帳、薬剤情報提供書、処方箋の控えなどをお持ちください。
特に重要|冠動脈ステントを入れている方
心筋梗塞や狭心症に対して冠動脈ステント治療を受けた後には、 ステント内に血栓ができることを防ぐため、 2種類の抗血小板薬を使用する時期があります。
この時期の抗血小板薬を自己判断で中断することは避ける必要があります。 白内障手術を予定する場合は、 ステントを留置した時期、 心筋梗塞・狭心症の状態、 現在の抗血小板薬を確認します。
- 冠動脈ステントを入れた年月
- ステント治療を行った理由
- 現在の抗血小板薬
- 1剤か2剤か
- 循環器内科の通院先
- 次回の循環器受診予定
現在も薬を必要としている理由がある場合があります。 特に最近ステント治療を受けた方や、 2種類の抗血小板薬を使用中の方は、 手術日を決める前に必ずお申し出ください。
ワルファリン・DOACを飲んでいる方で確認すること
抗凝固薬についても、 「全部止める」「全部そのまま」という一律の対応ではありません。 血栓塞栓症を起こす危険性と手術内容を確認して判断します。
服用理由と血液凝固の管理状況を確認
ワルファリンは心房細動、人工弁、 血栓塞栓症などで使用される抗凝固薬です。 治療状況に応じて血液凝固能を検査しながら用量が調整されています。
人工弁など血栓リスクが高い状態では、 薬の取り扱いについて特に慎重な判断が必要です。
薬剤名・腎機能・服用理由を確認
アピキサバン、エドキサバン、 リバーロキサバン、ダビガトランなどがあります。 主に心房細動による脳塞栓症予防や 静脈血栓塞栓症の治療・予防などに使用されます。
薬によって作用時間や体内からの排泄が異なるため、 個別に確認します。
抗凝固薬を中断する場合に、 すべての患者さんへ一律にヘパリンへ置き換えるわけではありません。 元の病気と血栓リスクによって判断されます。
白内障手術当日の薬は、事前に決めた方法で服用します
手術日が決まったら、 抗血栓薬だけでなく血圧の薬、糖尿病治療薬、 睡眠薬などを含めて内服内容を確認します。 当日の服薬方法は患者さんごとに異なるため、 有田眼科から説明された方法に従ってください。
初診・手術相談
持病、手術歴、服用薬を確認します。 抗血栓薬を使用している場合は、 薬剤名だけでなく服用理由をお聞きします。
白内障の術前検査
白内障の程度、角膜、眼底、OCT、 眼内レンズ計算など必要な検査を行います。
抗血栓薬の取り扱いを確認
薬の種類、処方理由、全身状態、 予定する手術内容を確認します。 必要な場合は処方医へ確認します。
当日の服薬方法を説明
継続する薬、個別の対応が必要な薬を整理し、 患者さんへ具体的に説明します。 自己判断で変更しないことが重要です。
手術・術後確認
手術後は目の状態を確認し、 抗血栓薬について特別な指示がある場合は その内容をお伝えします。
有田眼科では、麻酔・鎮静を検討するときも内服薬を確認します
有田眼科の白内障手術では、 点眼麻酔と前房内麻酔を組み合わせています。 手術への恐怖や緊張が強い方には、 笑気吸入鎮静または静脈内鎮静を検討します。
静脈内鎮静を使用する場合は、 抗血栓薬だけでなく心臓病、血圧、呼吸器疾患、 腎臓・肝臓の病気、その他の内服薬など、 全身状態を確認します。
点眼麻酔
目の表面へ麻酔薬を点眼して、 角膜や結膜の痛みを抑えます。
前房内麻酔
手術中に目の中へ麻酔薬を投与し、 眼内操作に伴う痛みや刺激を抑えます。
必要に応じて鎮静
強い恐怖や緊張がある方は、 全身状態と薬を確認したうえで 鎮静法を検討します。
手術を断られるのではないかと心配して 薬を申告しないことの方が問題になります。 安全に手術計画を立てるため、 使用している薬はすべてお知らせください。
処方している医師へ確認することがあるケース
全員について循環器内科などへ紹介状を求めるわけではありません。 ただし、病状や服薬状況によっては、 白内障手術前に主治医へ治療状況を確認する場合があります。
特に確認が必要になりやすい例
- 最近、心筋梗塞を起こした
- 最近、脳梗塞を起こした
- 最近、冠動脈ステントを留置した
- 抗血小板薬を2種類使用している
- 人工心臓弁がある
- 血栓症を最近起こした
受診時に分かるとよい情報
- 循環器・脳神経内科などの病院名
- 主治医名
- 治療を受けた年月
- ステント・人工弁などの手帳
- 現在のお薬手帳
- 最近変更された薬があるか
眼科だけで抗血栓薬の目的を変更するのではなく、 必要に応じて薬を処方している医師と情報を共有し、 目と全身の両方を考えて方針を決めます。
血液サラサラの薬と白内障手術|よくある質問
血液サラサラの薬を飲んでいても白内障手術はできますか?
抗血小板薬や抗凝固薬を服用しているという理由だけで、 白内障手術ができないと一律に決まるわけではありません。 薬剤名、服用理由、全身状態、 予定している手術内容を確認して判断します。
白内障手術の何日前から薬を止めればいいですか?
自己判断で休薬日を決めないでください。 薬によって作用や服用目的が異なり、 薬を中止すること自体が危険になる場合があります。 手術前に有田眼科または処方医から具体的に説明された方法に従ってください。
アスピリンを飲んでいます。止める必要がありますか?
アスピリンを服用している理由を確認する必要があります。 心筋梗塞や冠動脈ステントなど、 中止による血栓リスクを考える必要がある病気もあります。 自己判断では中止しないでください。
ワルファリンを飲んでいます。白内障手術は可能ですか?
手術を検討できる場合があります。 心房細動、人工弁などワルファリンを使用している理由と、 現在の治療状況を確認します。 必要な場合には処方医と連携して判断します。
DOACを飲んでいますが、朝の分を抜けばいいですか?
自己判断で抜かないでください。 DOACには複数の薬剤があり、 使用目的や腎機能、手術内容などによって対応が異なります。 事前に説明された服薬方法に従ってください。
冠動脈ステントを入れています。何を伝えればよいですか?
ステントを留置した時期、 心筋梗塞・狭心症など治療を受けた理由、 現在使用している抗血小板薬、 循環器内科の通院先をお伝えください。 ステント手帳がある場合は持参してください。
薬を2種類飲んでいます。1つだけ止めればよいですか?
自己判断では変更しないでください。 2剤併用には医学的な理由があります。 特に冠動脈ステント治療後などでは、 服薬内容の変更について慎重な判断が必要です。
薬の名前が分かりません。受診しても大丈夫ですか?
受診できます。 可能であれば、お薬手帳、薬袋、 薬剤情報提供書などをお持ちください。 薬の正式名称と服用量を確認します。
処方している内科の先生に聞いてから受診した方がいいですか?
まず有田眼科で白内障の状態を確認していただいて構いません。 白内障手術を検討する段階で、 必要に応じて処方医への確認や連携を行います。
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抗血栓薬を飲んでいる方も、まず薬を止めずにご相談ください
白内障の状態を確認したうえで、 薬の種類、服用理由、過去の心筋梗塞・脳梗塞、 冠動脈ステントなどの治療歴を確認します。 必要な場合には処方医とも連携し、 目と全身の両方を考えて白内障手術を計画します。
有田眼科 院長 有田 量一
〒810-0033 福岡県福岡市中央区小笹2丁目2-3