遠方から中間、日常に必要な近方まで。
TECNIS® PureSee™という選択肢
有田眼科では、白内障手術で使用する眼内レンズの新しい選択肢として、 非回折型の焦点深度拡張型眼内レンズ TECNIS® PureSee™(テクニス ピュアシー)を導入しました。
遠方から中間、日常生活で必要となる近方まで、 切れ目の少ない見え方を目指すレンズです。 回折型の3焦点眼内レンズとは異なる光学設計で、 遠方の鮮明さ、コントラスト、夜間の光の見え方とのバランスを考えて選択します。
白内障の程度、角膜乱視、網膜・黄斑・視神経の状態、 運転、パソコン、スマートフォン、読書などで見たい距離を確認して選びます。
TECNIS PureSeeはどのような眼内レンズですか?
TECNIS PureSeeは、焦点の合う範囲を広げる EDOF(焦点深度拡張型)眼内レンズです。 多焦点眼内レンズの選択肢に含まれますが、 光を遠方・中間・近方へ分ける回折型3焦点レンズとは設計が異なります。
非回折型の設計
レンズ表面に細かな回折リングを設けず、 屈折力を連続的に変化させることで焦点範囲を広げます。
遠方から中間を重視
運転、テレビ、外出、パソコン、料理など、 遠方から中間距離をよく使う方に検討されるレンズです。
日常的な近方を補う
スマートフォンや値札など、日常生活で使う近方視力も補うことを目指します。 細かい文字では近用眼鏡が必要になる場合があります。
乱視矯正タイプ
角膜乱視がある方では、検査結果により 乱視矯正用のトーリックモデルを検討できる場合があります。
非回折設計は夜間の光の輪やにじみを抑えることを意図していますが、 まぶしさ、コントラスト、夜間運転時の見え方には個人差があります。
12枚の画像で分かるTECNIS PureSeeの特徴
レンズの仕組み、見える距離、夜間の光の見え方、 コントラスト、瞳孔径や術後のわずかな度数ずれの影響まで、順番に解説します。

白内障手術で目の中へ入れる眼内レンズ
TECNIS PureSeeは、白内障手術で濁った水晶体を取り除いた後に、 水晶体の代わりとして目の中へ挿入する眼内レンズです。
一般的な単焦点眼内レンズより焦点の合う範囲を広げ、 遠方から中間、日常生活に必要な近方までを補うことを目指します。

臨床研究で報告された患者さんの評価
この臨床研究では、同じ眼内レンズを家族や友人へ勧めると回答した方が97%、 遠方を見るための眼鏡を必要としなかった方が100%、 裸眼での全体的な見え方に満足した方が88%と報告されています。

回折リングを使わず、見え方の質との両立を目指す
PureSeeは、光を複数の焦点へ分ける回折型眼内レンズとは異なり、 屈折力を連続的に変化させる非回折設計です。
画像では、単焦点眼内レンズと同程度のコントラスト感度と夜間光視症、 そして残余屈折に対する耐性を目指すという特徴が示されています。

レンズ前面と後面に異なる役割があります
レンズ前面は、平均的な角膜に生じる球面収差を補正することを意図した 非球面設計です。
球面収差とは、レンズの中心と周辺を通った光が同じ位置へ集まらず、 像のぼやけにつながる光学的なずれです。
レンズ後面では屈折力を連続的に変化させ、 遠方から中間、近方方向へ焦点深度を広げています。

レンズ中心部で度数を緩やかに変化させます
PureSeeは、レンズ後面中心の約2.4mmの範囲で、 屈折力が段階的ではなく緩やかに増える設計です。
画像中央の水色の線がPureSeeです。 単焦点眼内レンズの直線的な度数分布と、 回折型多焦点眼内レンズの細かな段差を持つ分布との違いが示されています。

遠方から中間、日常に必要な近方まで
画像では、レンズを通過した光が遠方の一点だけではなく、 奥行きのある範囲へ集まる様子が表現されています。
運転やテレビなどの遠方、パソコンや料理などの中間距離、 スマートフォンや値札などの日常的な近方視力を補うことを目指します。

単焦点眼内レンズより奥行きのある焦点範囲
上段の単焦点眼内レンズでは、光が遠方の狭い範囲へ集まっています。 下段のPureSeeでは光が前後へ広がり、 焦点の合う範囲が深くなる様子が示されています。
図では、遠方から約66cmの中間距離、 約40cmの近方方向まで焦点範囲を広げる考え方が示されています。

遠方から近方方向までの視力変化を比較
横軸は、0Dの遠方から進むほど中間・近方方向へ移ることを示します。 縦軸はモデル上の視力で、グラフの上側ほど良好な見え方を表します。
PureSeeを示す水色の線は、一般的な単焦点眼内レンズよりも 中間・近方方向まで視力が維持される傾向を示しています。

街灯周囲の光の輪やにじみを比較
左は回折型EDOF眼内レンズ、中央はPureSee、 右は単焦点眼内レンズを想定した光学試験画像です。
PureSeeでは、回折型レンズと比べて街灯周囲の大きな光の輪が目立ちにくく、 単焦点眼内レンズに近い光の見え方が示されています。

明暗のわずかな差を見分ける力を評価
コントラスト感度とは、背景と物体のわずかな明るさの差を見分ける能力です。 視力表の文字が読めても、コントラストが低いと 薄暗い場所で見えにくく感じることがあります。
術後3か月の研究では、明所グレアなし・明所グレアありの両条件で、 PureSeeとTECNIS Eyhanceのグラフが近い範囲を示しています。

暗い場所で瞳孔が大きくなった場合を想定
暗い場所では瞳孔が大きくなります。 画像左は瞳孔径3mmと5mmでの遠方イメージコントラスト、 右は瞳孔が3mmから5mmへ広がった場合の低下率を比較しています。
この平均眼モデルによる試験では、 PureSeeは比較対象となった他の眼内レンズよりも、 瞳孔径の変化によるコントラスト低下が小さい結果を示しています。

わずかな残余屈折がある場合の光の見え方
白内障手術では精密に眼内レンズ度数を計算しますが、 術後にわずかな近視や遠視が残る場合があります。
この画像は、遠視側+0.5D、度数ずれなし、 近視側-0.5Dの条件で光源の見え方を比較した コンピューターシミュレーションです。
PureSeeは、わずかな度数ずれがある条件でも、 回折型レンズと比べて大きな光の輪が少ない シミュレーション結果を示しています。
単焦点・PureSee・3焦点眼内レンズの違い
レンズにはそれぞれ得意な距離と見え方の特徴があります。 一つのレンズがすべての方に優れているのではなく、 どの距離を裸眼で見たいか、どの特徴を重視するか で選択肢が変わります。
主に一つの距離へ焦点を合わせる
- 遠方・中間・近方から主な焦点を選ぶ
- 焦点以外の距離では眼鏡を使用する
- 鮮明さやコントラストを重視したい場合の基本的な選択肢
- 網膜や視神経の状態によって優先されることがある
TECNIS PureSee
- 遠方から中間を中心に日常的な近方までを目指す
- 切れ目の少ない自然な距離のつながりを重視
- 細かい文字や長時間の読書では眼鏡が必要な場合がある
- 夜間の光視症を抑えることを意図した設計
近方を含む幅広い距離を重視
- 遠方・中間・近方を幅広くカバーする
- 近方の眼鏡依存を減らしたい方の選択肢
- ハロー・グレアを感じることがある
- 網膜・視神経の状態により適応を慎重に判断する
TECNIS PureSeeの費用と選定療養
TECNIS PureSeeを用いた白内障手術は、 選定療養として受けることができます。
白内障手術そのものにかかる部分には通常どおり健康保険が適用され、 PureSeeを選択するための追加費用を 選定療養費としてご負担いただく仕組みです。
TECNIS PureSee
角膜乱視の矯正を必要としない場合に使用する 非回折型EDOF眼内レンズです。
330,000 円
1眼あたり・税込選定療養費
TECNIS PureSee 乱視矯正用
角膜乱視の種類と程度を確認し、 乱視矯正用レンズの適応がある場合に検討します。
360,000 円
1眼あたり・税込選定療養費
保険負担割合に応じた自己負担
追加費用
- 330,000円・360,000円はいずれも 1眼あたりの税込選定療養費です。
- 選定療養費とは別に、保険診療による白内障手術代がかかります。
- 実際の総額は、健康保険の負担割合、検査内容、 使用する薬剤などによって異なります。
- 両眼でPureSeeを使用する場合は、左右それぞれに選定療養費がかかります。
- 乱視矯正用レンズを希望されても、 角膜乱視の種類や程度によって適応とならない場合があります。
- 左右で乱視の程度が異なる場合は、 片眼のみ乱視矯正用レンズとなる場合があります。
- 費用は変更される場合があるため、 手術前の説明時に最新の金額をご確認ください。
白内障手術の保険診療部分には健康保険が適用され、 多焦点・焦点深度拡張型眼内レンズを選択するための追加部分をご負担いただきます。
有田眼科の既存記事でも、選定療養の仕組みを詳しくご案内しています。
リンク先はPanOptix Proの記事です。リンク先に掲載された価格はPanOptix Proの価格です。 TECNIS PureSeeの費用は、本ページ記載の税込330,000円/360,000円をご確認ください。眼底疾患があってもPureSeeを使えますか?
眼底疾患があるという理由だけで、一律に使用できないとは限りません。 病変が軽度で安定しており、中心視力やコントラストへの影響が小さい場合には、 非回折EDOF眼内レンズを検討できる可能性があります。
ただし、黄斑、網膜、視神経の病気そのものが見え方へ影響するため、 白内障を手術しても期待した視力や近方視力が得られないことがあります。 「眼底疾患があっても使えるレンズ」と決めつけず、 病状と生活上の希望を確認したうえで判断することが大切です。
検討できる可能性がある状態
- 病変が軽度で中心視力への影響が小さい
- OCTや眼底所見が安定している
- ゆがみや視野障害が少ない
- 遠方から中間距離を主に重視している
- 期待できる見え方と限界を理解している
より慎重な判断が必要な状態
- 黄斑病変が視力やゆがみに影響している
- 網膜浮腫、出血、活動性の病変がある
- 糖尿病網膜症が進行している
- 緑内障による視野障害や視神経障害が強い
- 網膜・硝子体手術が必要になる可能性が高い
眼底疾患がある方へのEDOFレンズを扱った研究
網膜疾患を伴う患者さんへEDOF眼内レンズを挿入した研究では、 遠方視力に加えて一定の中間・近方視力と患者満足度が報告されています。 一方、眼底疾患がない方と比較すると、 視機能の結果は低い傾向も示されています。
また、初期の黄斑病変を伴う患者さんに対する 非回折EDOF眼内レンズの研究でも、 選択された患者さんでは遠方・中間視力や満足度について 良好な結果が報告されています。
これらはEDOF眼内レンズというカテゴリーの研究であり、 すべてがTECNIS PureSeeだけを対象にした研究ではありません。 対象となった病気の程度、症例数、観察期間にも限界があります。
有田眼科では、OCT、眼底検査、視力、ゆがみ、視野、 角膜やドライアイの状態を確認し、 単焦点眼内レンズを含めて比較します。
進行した黄斑疾患、活動性の糖尿病網膜症、 強い視神経障害などがある場合には、 単焦点眼内レンズの方が適していることがあります。 最終的な適応は診察と検査後に個別に判断します。
乱視矯正ではVERIONで手術計画と軸合わせを支援
PureSeeには、角膜乱視を矯正するトーリックモデルもあります。 トーリック眼内レンズでは、計画した方向へレンズの軸を合わせることが重要です。 有田眼科では、VERION Image Guided Systemを用いて 術前計画と術中の位置合わせを支援します。
Image|目の特徴を記録
強膜血管、角膜輪部、虹彩など、 患者さんごとの目の特徴を画像として記録します。
Plan|手術計画を作成
眼内レンズ度数、切開位置、 トーリック眼内レンズの予定軸などを検討します。
Guide|術中に計画位置を表示
座った状態から寝た状態へ変わった際に起こる眼球の回旋も考慮し、 顕微鏡下で軸合わせを支援します。
PureSeeを含む眼内レンズの選び方
レンズ名や価格から先に決めるのではなく、 検査結果と生活スタイルの両方から選びます。
目の状態を確認
角膜、黄斑、網膜、視神経、緑内障、 ドライアイなどを調べます。
見たい距離を整理
運転、テレビ、パソコン、料理、 スマートフォン、読書の優先順位を確認します。
夜間の生活を確認
夜間運転や暗所作業の頻度、 光のにじみへの不安を確認します。
乱視を測定
角膜乱視の種類と程度を測定し、 トーリックレンズの適応を検討します。
特徴と限界を比較
必要となる眼鏡、光視症、費用、 術後の個人差を確認して決定します。
PureSeeが候補になりやすい方
- 運転や外出の機会が多い
- テレビやパソコンをよく見る
- 遠方から中間の自然なつながりを重視したい
- 夜間の光の見え方が気になる
- 細かい文字では眼鏡を使用できる
別のレンズが適する可能性がある方
- 非常に細かい文字を裸眼で長時間読みたい
- 近方の眼鏡依存をできる限り減らしたい
- 網膜・黄斑・視神経の病気が視機能へ強く影響している
- 一つの距離の鮮明さを最優先したい
- 手術後の眼鏡使用を受け入れられる
有田眼科では目の状態と生活に合わせてレンズを比較します
有田眼科では、単焦点、焦点深度拡張型、 3焦点・連続焦点、乱視矯正用など、 複数の眼内レンズを比較してご説明します。
PureSeeを希望されても、検査結果や希望する近方距離によっては、 別の眼内レンズをご提案する場合があります。
院長 有田 量一
白内障の程度、網膜・視神経の状態、 見たい距離を確認して眼内レンズを検討します。
白内障だけでなく目全体を確認
角膜、水晶体、瞳孔、眼底などを確認し、 見えにくさの原因を調べます。
VERIONによる手術計画
目の特徴を記録し、 乱視矯正用レンズの軸合わせを支援します。
医師とスタッフによる手術体制
手術顕微鏡や白内障手術装置を使用し、 患者さんの状態を確認しながら手術を進めます。
顕微鏡下で行う白内障手術
創口、眼内レンズの位置、 目の状態を確認しながら手術を行います。
福岡市中央区小笹の有田眼科
白内障の検査、眼内レンズ選び、 手術、術後診療まで対応します。
検査結果をもとにレンズの違いをご説明します
PureSeeだけに限定せず、単焦点、 3焦点、乱視矯正用などを比較します。
術前・術後の通院方法も確認
手術当日はご自身で運転できないため、 帰宅方法を事前にご準備ください。
TECNIS PureSeeについてよくある質問
PureSeeは多焦点眼内レンズですか?
多焦点眼内レンズの選択肢として扱われる 焦点深度拡張型眼内レンズです。 ただし、光を複数の焦点へ分ける回折型3焦点レンズとは異なる 非回折型の光学設計です。
PureSeeを入れれば眼鏡は不要になりますか?
眼鏡を使う場面を減らせる可能性はありますが、 完全に不要になるとは限りません。 細かい文字、長時間の読書、暗い場所では 近用眼鏡が必要になる場合があります。
PureSeeの費用はいくらですか?
有田眼科での選定療養費は、 乱視矯正なしのTECNIS PureSeeが 1眼あたり税込330,000円、 乱視矯正用が 1眼あたり税込360,000円です。
この金額とは別に、保険診療による白内障手術代がかかります。 実際の総額は、健康保険の負担割合や診療内容によって異なります。
両眼でPureSeeを選ぶ場合はいくらかかりますか?
選定療養費は片眼ごとにかかります。 両眼とも乱視矯正なしの場合は税込660,000円、 両眼とも乱視矯正用の場合は税込720,000円が 選定療養費の合計となります。
左右で乱視の程度が異なる場合は、 片眼が330,000円、もう片眼が360,000円となることがあります。 これらとは別に、左右それぞれの保険診療による白内障手術代がかかります。
選定療養とは何ですか?
白内障手術の保険診療部分には健康保険を適用しながら、 多焦点・焦点深度拡張型眼内レンズを選択するための追加費用を ご負担いただく制度です。
白内障手術のすべてが自費診療になるわけではありません。
夜間運転をする人にも向いていますか?
非回折設計は夜間の光の輪やにじみを抑えることを意図しています。 ただし、ハロー・グレアがまったく起こらないわけではありません。 夜間運転の頻度や光への敏感さを確認して選びます。
黄斑上膜や糖尿病網膜症があっても選べますか?
病名だけで一律には決められません。 病変の位置、程度、活動性、視力やゆがみへの影響を OCTや眼底検査で確認し、単焦点眼内レンズを含めて比較します。
緑内障があってもPureSeeを選べますか?
初期で視野障害が軽い場合には検討できる可能性がありますが、 視野障害や視神経障害が強い場合は慎重な判断が必要です。 視野検査、OCT、眼圧、視神経の状態を確認します。
乱視も一緒に矯正できますか?
角膜乱視の種類や程度によっては、 PureSeeのトーリックモデルを検討できます。 有田眼科ではVERIONを用いて、 手術計画と術中の軸合わせを支援します。
3焦点眼内レンズとの一番大きな違いは何ですか?
3焦点眼内レンズは近方までの眼鏡依存を減らすことを重視します。 PureSeeは遠方から中間、日常的な近方までの自然なつながりと、 コントラストや夜間の光の見え方とのバランスを重視したレンズです。
PureSeeが自分に合うか、検査から相談できます
白内障手術を受けるか、どの眼内レンズを選ぶかは、 最初の受診日に決める必要はありません。
現在の見え方、白内障の程度、角膜乱視、 網膜・黄斑・視神経の状態、生活で重視する距離を確認し、 単焦点や他の多焦点眼内レンズと比較してご説明します。
手術適応、使用できる眼内レンズ、乱視矯正、術後の見え方は、 検査結果と全身状態により個別に判断します。
主な参考資料
- TECNIS PureSeeおよびPureSee Toricの国内発売情報
- TECNIS PureSee製品情報
- 網膜疾患を伴う患者におけるEDOF眼内レンズの術後成績
- 初期黄斑病変を伴う患者における非回折EDOF眼内レンズの報告
- EDOF眼内レンズの光学設計と臨床的特徴に関するレビュー
- 有田眼科 白内障手術
- 有田眼科 VERION Image Guided System
- 有田眼科 選定療養のご案内
画像に示された臨床研究、光学ベンチ試験、 平均眼モデル、コンピューターシミュレーションの結果は、 それぞれ試験方法や対象が異なります。 個々の患者さんの術後視力、眼鏡の必要性、 夜間の見え方、満足度を保証するものではありません。