Disease

目の病気と治療

白内障

水晶体が濁り、視力低下などの症状があります
加齢などの原因で目の中の水晶体というレンズが白く混濁する病気です。



症状は視力低下が中心ですが、それ以外にも様々な症状を来します。
  • 物が二重に見える
  • 光が眩しい
  • 全体的にぼやけてピントが合わない
  • 車のヘッドライトが眩しい
  • メガネをかけても見えづらい

白内障の原因は様々ですが、糖尿病や副腎皮質ステロイドの内服や外用、紫外線や喫煙などが原因となることがあります。また、最近ではコロナワクチン後やコロナウイルスに感染後に急激に白内障が進んでいる方もいらっしゃいます。


治療は基本的には手術(濁った水晶体をきれいにして、人工レンズを挿入) になります。医療技術・器機の進歩により、日帰り手術で安全に治療が可能となりました。手術をしたくないという方は点眼治療となります(白内障を治す点眼液はありませんが、白内障の進行をある程度遅らせる薬です)。人工レンズは単焦点レンズ、乱視矯正レンズ、多焦点レンズがあり、生活スタイルに合わせて選択していく必要があります。



 

白内障手術における当院のこだわり



当院は最新の光学式眼軸長測定装置OA-2000や白内障手術ガイドシステムVERION(ベリオン)ビジョンプランナーを導入している県内でも数少ない施設であり、乱視矯正眼内レンズや多焦点眼内レンズの挿入時により高い精度で手術が行えます。

患者様にとっては一生に一度の白内障手術ですので、少しでも患者様の見え方の向上に繋がるよう最新設備を整えています。
 

白内障手術ガイドシステムVERION(ベリオン)

当院は県内でも数少ない白内障手術ガイドシステムVERION(ベリオン)を導入している施設です。これにより白内障手術の乱視矯正をより高い精度で行うことが可能になります。
 

VERIONの概要

VERIONは以下の3つのパーツから構成されています
  • Image構築   Measurement Module(メジャメント・モジュール)

  • Plan作成    Vision Planner(ビジョン・プランナー)

  • Guide表示   Digital Maker(デジタル・マーカー)
上記の測定を実施している際に、高解像度のデジタル画像を撮影し、患者様特有の強膜血管、輪部と虹彩の特徴を捉えています。撮影は正確性を期すため、約千回行われます。これらの、いわゆる各患眼固有の「認証」を行うことで、術中の眼球の動きをトラッキングでき、創口作成、前嚢切開、IOL固定時に"GUIDE"表示を行うことができます。

VERIONリファレンス・ユニットの一部であるビジョン・プランナーで、眼内レンズ度数計算やトーリック眼内レンズ・SIA・角膜孤状切開等による乱視矯正プランニングをすることができます。

顕微鏡外付けモニタとMID(Microscope Integrated Display、顕微鏡に設置するオーバーレイシステム)で仰臥位による眼球回旋や術中の眼の動きをトラッキングし、術前に計画した切開位置・前嚢切開位置・IOL中心固定位置・トーリックIOL軸を顕微鏡下とモニタに表示することができます。
 

多焦点眼内レンズ

白内障手術時に眼内に入れるレンズは、これまで単焦点の眼内レンズのみ使用されていました。しかし、単焦点の眼内レンズを使用した場合、白内障手術後は調節機能がなくなるために焦点(ピント)が1点のみとなります。例えば遠くに焦点が合っている場合には近用の老眼鏡が必要となり、近年普及しているスマートフォンなどの画面を見る際に必ず眼鏡が必要になります。
この欠点を補うために登場したのが多焦点眼内レンズで、遠近両用眼鏡と理論的には同じで、遠近距離に焦点を合わせることできます。
当院では、見え方の特徴の異なる数種類の多焦点眼内レンズの中から患者様のライフスタイルに合わせて眼内レンズの選択を行っています。屈折型や回折型多焦点眼内レンズに加え、乱視用多焦点眼内レンズなど国内で認可されている全ての多焦点眼内レンズを取り扱っております。詳しくは担当医・スタッフにご相談ください。

当院の白内障手術におきまして、多焦点眼内レンズ『Lentis Comfort(レンティス コンフォート)』が使用できるようになりました。
保険診療で使える2焦点眼内レンズです。
 

『Lentis Comfort(レンティス コンフォート)』とは?

ドイツオキュレンティス社で開発された完全オーダーメイドの多焦点眼内レンズで、遠方部分と近方部分の境目がなく遠方から近方までがスムーズにつながって見えるのが特徴です。 コントラストの感度が良好で、光学的な光のロスが少なくグレア・ハローも出にくくなっています。
 
  • 良好な遠方・中間視力
    見える距離が一定の単焦点レンズと比較して、中距離~遠方までの距離が見えやすくなっています。その為、メガネの使用頻度を減らしたり、老眼鏡の度数を軽くすることができます。
  • ハロー・グレア現象が少ない
    眼内レンズ挿入後、強い光源を見た時に、光に輪がかかって見えたり(ハロー)、光が長く伸びてまぶしく見えたり(グレア)することがあります。LENTIのレンズはその現象が他の眼内レンズより少ないと言われています。
  • レンズの安定性
    プレート型のレンズで眼内安定性が良く、後発白内障の発生率が低いことが期待されます。

白内障手術をご検討の方でレンティスレンズが気になる方はぜひ一度お問い合わせください。
 

Johnson&Johnson社のTECNIS Synergy IOL (テクニスシナジー) という新しい多焦点眼内レンズが使用できるようになりました

TECNIS Synergy IOL




我々の生活においてスマートフォンを始めとした電子機器の普及が進んでおり、我々の生活においてなくてはならない必需品になっています。白内障術後もスマートフォンを始めとした電子機器を見るためには、術後に手元から遠くまでをスムーズに見ることが求められる時代になってきています。 



既に数多くの多焦点眼内レンズが存在しますが、それらは焦点が合う距離が決まっており、連続的に見えるようなスムーズな見え方は得られませんでした。



この新しい多焦点眼内レンズの特徴は、焦点深度拡張型レンズ(TECNIS Symfony : 遠くから近くまで幅広く見える=自然な見え方)と三焦点眼内レンズ(TECNIS Multifocal : 遠方、中間、近方の3箇所に焦点があう=良好な遠方・近方視力)の性質をあわせもっていることです。








更に、バイオレットライトフィルターを搭載しており、紫色光をフィルタリングすることにより、LED光源に多く含まれる紫色光による光視症を低減して、運転時やスマートフォンなどを使用している時でも高いコントラスト感度が得ることができます。




当院はいち早くこのTECNIS Synergyを導入しており、ご希望される白内障患者様に対して選定療養という保険の仕組みを用いて、このレンズを挿入することが可能です。また、既にその有効性も実感しており、ご希望される患者様に積極的に使用していくことで、白内障手術後に満足のいく視力が得られるよう尽力してまいります。