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2026.08.04

手術について

白内障手術で失敗することはある?合併症・見え方の問題と受診の目安

白内障手術の安全性

「白内障手術で失敗することはあるのか」 「手術を受けても見えなかったらどうしよう」と 不安になる方は少なくありません。

白内障手術は一般に良好な結果が期待できる治療ですが、 医療行為である以上、合併症の可能性を完全になくすことはできません。 また、患者さんが「失敗した」と感じる状況には、 手術の合併症だけでなく、眼鏡が必要になること、 希望した距離とのずれ、白内障以外の病気による 視力回復の限界なども含まれます。

合併症はゼロではありません 手術中と手術後、それぞれに起こり得る問題があります。
見え方の差は合併症とは限りません 度数、眼鏡、乱視、網膜や視神経も見え方へ影響します。
早期発見が重要です 急な視力低下、痛み、飛蚊症の急増などは早めにご相談ください。
白内障手術で「失敗」と感じられる状況は一つではありません

医学的な合併症が起こった場合だけでなく、 手術後も眼鏡が必要だった、 希望した距離が見えにくかった、 網膜や緑内障のため視力が十分に上がらなかった場合にも、 患者さんは「失敗したのでは」と感じることがあります。 まず、何が起きているのかを分けて確認することが大切です。

「白内障手術の失敗」と感じやすい4つの状況

1

手術中に合併症が起きた

水晶体を支える組織や袋が弱い場合、 後嚢破損、チン小帯断裂、水晶体の一部の落下などが 起こることがあります。

2

手術後に合併症が起きた

感染、強い炎症、眼圧上昇、角膜浮腫、 黄斑浮腫、網膜裂孔・網膜剥離などが 起こる可能性があります。

3

期待した見え方と異なった

眼内レンズの度数は検査から計算しますが、 手術後の近視・遠視・乱視が 予測と完全には一致しない場合があります。

4

白内障以外の病気が影響した

緑内障、黄斑上膜、加齢黄斑変性、 糖尿病網膜症、角膜疾患などがあると、 白内障を取り除いても視力改善に限界がある場合があります。

白内障手術は安全な手術ですか?

白内障手術は広く行われている手術ですが、 「短時間だから簡単」「傷が小さいから絶対に安全」 という意味ではありません。

白内障の硬さ、瞳孔の開き方、水晶体を支える組織、 角膜、網膜、視神経、過去の手術歴、 糖尿病などの持病によって、 手術の難しさや術後経過は異なります。

手術時間の短さだけで、安全性や手術の質を判断することはできません。

目の状態によっては、追加の器具や処置を使用しながら 慎重に手術を行う必要があります。 安全性を優先して、予定していた方法を変更する場合もあります。

手術の難しさに関係する目と全身の状態

白内障

進行した硬い白内障

水晶体が硬い場合は、超音波による処理や 眼内操作が増え、角膜などへの負担が 大きくなることがあります。

支持組織

チン小帯が弱い

水晶体を支える線維が弱いと、 水晶体や眼内レンズの安定性に 影響する場合があります。

瞳孔

瞳孔が開きにくい

瞳孔が小さい場合は、 瞳孔を広げる補助器具や 追加処置が必要になることがあります。

角膜

角膜内皮細胞が少ない

角膜の透明性を保つ細胞が少ないと、 手術後の角膜浮腫が 長引く可能性があります。

網膜

強度近視がある

眼球が長い強度近視では、 網膜裂孔や網膜剥離などの 網膜疾患にも注意が必要です。

持病

糖尿病などがある

糖尿病網膜症、黄斑浮腫、感染、 傷の治りなどを確認しながら、 手術前後を管理します。

リスクがあることと、手術を受けられないことは同じではありません

追加検査、補助器具、手術方法、 術後の通院計画、必要に応じた医療機関との連携などを検討し、 患者さんごとに手術の可否と方法を判断します。

白内障手術中に起こり得る主な合併症

合併症 どのような状態か 必要になる可能性がある対応
後嚢破損 眼内レンズを支える水晶体嚢の後方に 裂け目が生じた状態です。 硝子体への追加処置や、 眼内レンズの固定位置の変更を検討します。
チン小帯断裂・脆弱性 水晶体を支える細い線維が弱い、 または一部が切れた状態です。 水晶体嚢を支える補助器具や、 別の眼内レンズ固定方法を検討します。
水晶体核・皮質の落下 水晶体の一部が、 眼球後方の硝子体側へ落下した状態です。 状態により追加の硝子体手術などを 検討する場合があります。
虹彩の損傷 瞳孔が小さい、虹彩が動きやすいなどの理由で、 虹彩へ負担がかかった状態です。 炎症や瞳孔の形を確認し、 必要に応じて追加処置を行います。
角膜への負担 超音波や眼内操作により、 角膜内皮細胞が減少する場合があります。 術後の角膜浮腫を確認し、 点眼などで経過をみます。
眼内出血 虹彩などから眼内へ出血する場合があります。 出血の程度により、 手術内容の変更や追加治療を検討します。
眼内レンズを予定位置へ固定できない 水晶体嚢や支持組織の状態により、 予定した位置へ固定できない場合があります。 別の種類や固定方法へ 変更することがあります。
手術中に合併症が起きた場合は、安全性を優先して計画を変更します。

当初予定した眼内レンズや方法にこだわらず、 その時点の目の状態に適した処置を選択します。 一度に完了させることが安全でない場合は、 目を安定させてから追加手術を計画することもあります。

手術後早期に起こり得る主な合併症

感染

眼内炎・眼内感染

細菌などが目の中で増え、強い炎症を起こす状態です。 急な視力低下、強い痛み、充血、 目やになどが現れる場合があります。

眼圧

眼圧上昇

手術、炎症、眼内で使用した薬、 術後点眼などの影響で 眼圧が上がる場合があります。

角膜

角膜浮腫

角膜がむくみ、霧がかかったように見える、 光がにじむなどの症状が出ることがあります。

黄斑

術後黄斑浮腫

網膜の中心である黄斑がむくみ、 中心部のかすみ、文字のゆがみ、 視力回復の遅れが起こる場合があります。

網膜

網膜裂孔・網膜剥離

飛蚊症の急増、光が走る症状、 視野の影や幕などが現れる場合があります。

眼内レンズ

位置ずれ・回転

眼内レンズが予定位置からずれたり、 乱視矯正用レンズが回転したりすると、 視力や乱視へ影響する場合があります。

手術後しばらくしてから起こる問題

手術直後の経過が良好でも、 数週間、数か月、数年後に 見え方が変化することがあります。

後発白内障

眼内レンズを支える水晶体嚢が濁り、 再びかすんだように見える状態です。 白内障そのものが再発したわけではありません。

眼内レンズの偏位・脱臼

水晶体嚢や支持組織の変化により、 眼内レンズがずれ、 見え方の変化や二重見えが生じる場合があります。

網膜剥離

手術から時間が経過して発症する場合もあります。 飛蚊症、光視症、視野の影に注意が必要です。

慢性的な炎症・黄斑浮腫

炎症が長引いたり、いったん落ち着いた後に 再び中心部のかすみやゆがみが 現れたりする場合があります。

合併症ではなくても、期待どおりに見えないことがあります

手術が予定どおり完了しても、 眼鏡が完全に不要になることや、 希望した距離がすべて鮮明に見えることを 保証するものではありません。

度数の予測との差

眼内レンズ度数は術前検査から計算しますが、 手術後の近視、遠視、乱視が 計算と完全には一致しないことがあります。

眼鏡が必要になる

単焦点・多焦点のどちらでも、 見る距離や細かい作業によって 眼鏡が必要になる場合があります。

乱視が残る

乱視矯正用眼内レンズを使用しても、 乱視を完全になくせるとは限りません。

ハロー・グレア

ライトの周囲に輪が見える、 夜間に光がにじむなどの症状を 感じることがあります。

コントラストの違い

薄暗い場所、雨天、夜間などで、 くっきり感が期待と異なる場合があります。

ほかの目の病気

緑内障、黄斑上膜、黄斑変性、 糖尿病網膜症、角膜疾患などにより、 視力改善に限界がある場合があります。

眼鏡が必要になること自体は、白内障手術の失敗ではありません

眼内レンズには焦点の特徴があります。 遠くへ合わせた場合は近くを見る眼鏡、 近くへ合わせた場合は遠くを見る眼鏡が 必要になることがあります。

合併症の予防と早期発見のためにできること

手術前に行うこと

  • 持病と治療状況を正確に伝える
  • お薬手帳を持参する
  • 薬を自己判断で中止しない
  • 過去の目の手術や外傷を伝える
  • 薬や消毒薬のアレルギーを伝える
  • 感染予防薬を指示どおり使用する
  • 発熱や体調不良があれば連絡する

手術後に行うこと

  • 目をこすらない、強く押さえない
  • 目へ水や汚れを入れない
  • 処方された点眼を続ける
  • 点眼前に手を洗う
  • 点眼容器の先を目へ触れさせない
  • 指定された日に診察を受ける
  • 急な変化は予約日を待たず連絡する

予約日を待たず、早めに受診したい症状

次の症状を「手術後だから仕方がない」と我慢しないでください
  • 急に見えにくくなった
  • いったん改善した視力が急に低下した
  • 時間とともに強くなる目の痛み
  • 強い充血やまぶたの腫れ
  • 目やにが急に増えた
  • 強い頭痛や吐き気を伴う
  • 黒い点や糸くずが急に増えた
  • 稲妻やフラッシュのような光が見える
  • 視野に影やカーテン状の幕が見える
  • 中心部がゆがむ、暗く見える
  • 急に二重に見える

診療時間内は有田眼科へ連絡し、 手術日、症状が始まった時刻、 痛みや見え方の変化をお伝えください。 診療時間外に強い症状がある場合は、 救急対応が可能な医療機関を受診してください。

合併症が疑われる場合の主な検査と対応

疑われる状態 主な検査 対応の例
眼内感染 視力、眼圧、細隙灯顕微鏡検査、 眼底検査、超音波検査など 抗菌薬、眼内注射、硝子体手術などを 状態に応じて検討
眼圧上昇 眼圧、前房、炎症、 必要に応じて隅角など 点眼、内服、追加処置などを検討
角膜浮腫 角膜の透明性、厚み、 内皮細胞、炎症など 点眼、内服、経過観察、 状態に応じた追加治療
術後黄斑浮腫 視力、眼底検査、 黄斑OCTなど 抗炎症点眼、注射治療などを 状態に応じて検討
網膜裂孔・網膜剥離 散瞳眼底検査、眼底写真、 OCT、超音波検査など 網膜光凝固、硝子体手術などを 病状に応じて検討
眼内レンズの位置ずれ 細隙灯顕微鏡検査、 散瞳検査、屈折検査など 経過観察、位置修正、固定、 交換などを状態に応じて検討
すべての検査や治療を有田眼科だけで行うと断定するものではありません。

病状と緊急性に応じて、 有田眼科での検査・治療、追加手術、 または対応可能な医療機関との連携を検討します。

有田眼科の白内障手術前後の安全確認

白内障だけでなく目全体を検査

白内障の程度、角膜、網膜、黄斑、 視神経、眼圧などを確認します。

持病と内服薬を確認

糖尿病、高血圧、心臓病、呼吸器疾患、 抗血栓薬など、手術前後に関係する情報を確認します。

患者さんごとのリスクを説明

手術方法だけでなく、 起こり得る合併症、術後点眼、 必要な通院について説明します。

感染予防薬を使用

有田眼科の案内に沿って、 手術2日前から感染予防の点眼と内服を開始します。

術後早期に状態を確認

手術翌日と術後2~3日後を含め、 感染、炎症、眼圧、角膜、 眼内レンズなどを確認します。

白内障手術の失敗・合併症についてよくある質問

白内障手術は絶対に安全ですか?

一般に良好な結果が期待できる手術ですが、 医療行為である以上、 合併症の可能性を完全になくすことはできません。 目と全身の状態によってリスクは異なります。

白内障手術で失明することはありますか?

感染、重い出血、網膜剥離などによって、 重い視力障害が生じる可能性はあります。 異常を早く発見して治療するため、 術後点眼と指定された診察が重要です。

手術時間が短いほど安全ですか?

手術時間は白内障の硬さ、瞳孔、 水晶体を支える組織、 必要な追加処置などによって異なります。 短さだけで安全性や手術の質を判断できません。

手術後にすぐ見えないと失敗ですか?

角膜のむくみや炎症などにより、 視力が徐々に回復する場合があります。 一方で、感染、眼圧上昇、黄斑浮腫などの 確認が必要な場合もあるため、 術後診察で原因を確認します。

眼鏡が必要になったら失敗ですか?

眼鏡が必要になること自体は合併症ではありません。 眼内レンズには焦点の特徴があり、 見る距離や作業内容によって 眼鏡が必要になる場合があります。

眼内レンズの度数がずれることはありますか?

眼内レンズ度数は術前検査から計算しますが、 角膜、眼軸長、術後の眼内レンズ位置などの影響で、 予測と完全には一致しない場合があります。

眼内炎とはどのような病気ですか?

細菌などが目の中で増え、 強い炎症を起こす状態です。 急な視力低下、強い痛み、充血、 目やになどがある場合は早急な診察が必要です。

白内障手術後に網膜剥離が起こることはありますか?

起こる可能性があります。 飛蚊症の急増、光が走る症状、 視野の影や幕がある場合は、 予約日を待たず眼底検査を受けてください。

後発白内障は手術の失敗ですか?

白内障そのものが再発した状態ではありません。 眼内レンズを支える膜が濁る状態で、 適応があれば外来でYAGレーザー治療を検討します。

合併症が起きたら有田眼科で治療できますか?

病状と緊急性に応じて、 有田眼科での検査・治療、追加手術、 または対応可能な医療機関との連携を検討します。 すべての治療を院内で行うと断定するものではありません。

白内障手術の利点とリスクを確認してから判断できます

有田眼科では、白内障だけでなく、 角膜、網膜、黄斑、視神経、眼圧、 持病や内服薬を確認して手術計画を立てます。

手術を受けると決めていない段階でも、 現在の白内障の程度、 期待できる見え方、 患者さんごとの注意点をご相談いただけます。

本記事は一般的な医療情報です。 手術の難しさ、起こり得る合併症、 必要な検査・治療、術後の通院予定は、 患者さんの目と全身の状態によって異なります。 有田眼科から受けた個別の指示を優先してください。 監修:有田眼科 院長 有田 量一

執筆・医学的内容の確認:有田眼科 院長 有田 量一

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