ロープレッサ®点眼液0.02%
ロープレッサ®点眼液0.02%は、2026年8月17日に国内で発売された緑内障・高眼圧症治療薬です。 ROCK阻害によって房水を主流出路から外へ流れやすくし、NET阻害による房水産生抑制作用も組み合わせて眼圧を下げる特徴があります。
ロープレッサ®の注目ポイント
- ROCK阻害+NET阻害という二重の作用
- 承認された用法は1回1滴・1日1回
- 国内第III相J-ROCKET試験で眼圧下降効果が検討されています
- 海外ではチモロールとの比較や房水動態研究も行われています
- 従来薬とは異なる作用機序を持つ治療選択肢です
ロープレッサ®点眼液0.02%は、2026年6月19日に国内製造販売承認を取得し、 2026年8月17日に発売されました。
他の緑内障治療薬で十分な効果が得られない場合や、他の薬を使用できない場合などに検討されます。 現在の眼圧、目標眼圧、OCT、視野、これまでの点眼治療、副作用などを確認して治療を選びます。
有効成分:ネタルスジルメシル酸塩
ロープレッサ®点眼液0.02%とは
ロープレッサ®点眼液0.02%は、ネタルスジルメシル酸塩を有効成分とする緑内障・高眼圧症治療薬です。 眼圧を下げることで、緑内障による視神経障害や視野障害の進行をできるだけ抑えることを目的として使用します。
二つの作用
ROCK阻害による線維柱帯流出路からの房水流出促進と、NET阻害による房水産生抑制が眼圧下降へ関与すると考えられています。
1日1回
承認された用法・用量は1回1滴・1日1回です。 長期に続く緑内障治療では、点眼回数も治療継続を考えるうえで重要です。
使用する方を選ぶ薬
効能・効果は、他の緑内障治療薬が効果不十分、または使用できない場合の緑内障・高眼圧症です。
ロープレッサ®は緑内障治療の一つの選択肢です。 緑内障の症状、OCT、視野検査、点眼、レーザー、手術までの全体像は緑内障ページで詳しく解説しています。
福岡の緑内障の検査・治療について詳しくみる作用機序|房水の主流出路へ働きかける
眼の中では房水という透明な液体が作られ、前房から線維柱帯、シュレム管、集合管を経て静脈系へ排出されます。 房水の産生と排出のバランスによって眼圧は保たれています。
房水の主な流れ
ROCK阻害
線維柱帯などへ働きかけ、主流出路から房水を流れやすくすることで眼圧下降へつながります。
流出路末梢側への作用
海外の房水動態研究では、線維柱帯流出能や上強膜静脈圧などへの作用も検討されています。
NET阻害
NETはノルエピネフリントランスポーターの略です。 NET阻害による房水産生抑制も眼圧下降へ関与すると考えられています。
ROCK阻害薬は国内ですでに使用されています。 ロープレッサ®の特徴は、ROCK阻害にNET阻害を組み合わせた作用機序を持つ点です。
日本人で検討された眼圧下降効果
日本人の原発開放隅角緑内障または高眼圧症を対象に、 ネタルスジル0.02% 1日1回とリパスジル0.4% 1日2回を比較した国内第III相J-ROCKET試験が行われました。
4週時の平均眼圧下降量
ネタルスジル0.02%・1日1回
数字は患者さん全員にそのまま当てはまりません
臨床試験では平均値で効果を評価しますが、実際の眼圧下降効果には個人差があります。
重要なのは、患者さん自身の目標眼圧へ到達しているか、 そしてOCTや視野検査で緑内障の進行が抑えられているかを確認することです。
J-ROCKETの事後解析では、ベースライン平均日中眼圧20mmHg未満の群でも眼圧下降が観察されています。 ただし、正常眼圧緑内障だけを対象にした専用試験ではありません。
海外論文から分かってきたネタルスジルの特徴
ネタルスジルは海外でも複数の臨床試験や房水動態研究が行われています。 個々の研究が何を示しているかと、そこからは断定できないことを分けて読むことが重要です。
チモロールとの比較
海外ROCKET試験群では、ネタルスジル0.02% 1日1回とチモロール0.5% 1日2回が比較されました。
一定のベースライン眼圧条件を満たす集団で、チモロールに対する非劣性が検討されています。
ヒトで房水動態を測定
ヒトを対象とした小規模研究では、線維柱帯流出能の増加や上強膜静脈圧への作用が観察されています。
一方、房水産生低下は減少傾向を示したものの、この研究では統計学的有意差には達していません。
主流出路全体を考える
ネタルスジルの特徴を理解する際には、単に「房水を作らせない」「流す」という二分類だけでなく、 線維柱帯からより末梢側の流出路まで含めて考えることが参考になります。
ラタノプロストとの組み合わせ
海外MERCURY試験では、ネタルスジルとラタノプロストを組み合わせた固定配合剤が評価されています。
これは日本国内のロープレッサ®単剤そのものの成績ではない点に注意が必要です。
有田眼科が文献を見るときに大切にしていること
論文の平均眼圧下降量だけを患者さんへ当てはめるのではなく、 現在の眼圧、目標眼圧、OCTによる構造変化、視野検査による機能変化、 副作用、治療を継続できるかまで確認して治療方針を考えます。
目元の変化が気になる場合の治療選択
緑内障は長期間にわたり点眼を続けることが多いため、眼圧下降効果だけでなく、副作用や治療を続けやすいかどうかも重要です。
プロスタノイド受容体関連薬とは異なる作用機序
プロスタノイド受容体関連薬では、虹彩や眼瞼周囲の色調変化などがみられることがあります。
ロープレッサ®はプロスタノイド受容体関連薬とは異なる作用機序を持つため、 現在の薬による目元の変化が気になる場合には、病状によって別の治療選択肢を検討できることがあります。
眼圧下降効果、目標眼圧、副作用、角膜や結膜の状態、現在の点眼内容などを総合して判断します。
ロープレッサ®にも副作用があります
- 結膜充血
- 角膜の変化
- かすみや視力への影響
- その他の眼局所症状
現在の点眼薬を自己判断で中止したり、ロープレッサ®へ変更したりしないでください。
緑内障点眼薬にはさまざまな作用があります
| 薬の種類 | 主な働き | 治療で考えること |
|---|---|---|
| プロスタノイド受容体関連薬 | 房水流出を促進 | 強い眼圧下降効果が期待される薬剤群です。局所副作用にも注意します。 |
| β遮断薬 | 房水産生を抑制 | 呼吸器疾患や循環器疾患など全身状態も確認します。 |
| 炭酸脱水酵素阻害薬 | 房水産生を抑制 | 単剤または他剤との組み合わせで使用します。 |
| ROCK阻害薬 | 主に線維柱帯流出を促進 | 房水の主流出路へ働きかけます。 |
| ロープレッサ® | ROCK阻害+NET阻害 | 線維柱帯流出促進と房水産生抑制作用によって眼圧下降を目指します。1日1回です。 |
副作用|充血や角膜の変化などに注意します
ロープレッサ®にも副作用があります。 治療開始後は眼圧だけでなく、結膜や角膜など目の状態も確認します。
結膜充血
白目が赤くなる結膜充血がみられることがあります。 程度や持続時間には個人差があります。
渦巻き角膜
角膜上皮に特徴的な変化がみられることがあります。 定期診察で角膜の状態を確認します。
角膜上皮浮腫など
かすみや視力低下が続く場合には、角膜の状態を確認する必要があります。
急な視力低下、強い眼痛、強い充血、かすみが続く場合などは、自己判断で点眼を続けたり中止したりせず眼科へご相談ください。
点眼方法|1回1滴・1日1回
承認された用法・用量は1回1滴、1日1回です。 実際の点眼時間や他の点眼薬との組み合わせは処方時の指示に従ってください。
1. 手を洗う
点眼前に手を清潔にします。
2. 1滴点眼
容器の先端を目やまつげへ触れさせないようにします。
3. 静かに閉眼
点眼後は強く瞬きを繰り返さず静かに目を閉じます。
4. 他剤との間隔
複数の点眼薬を使用する場合は指示された間隔をあけます。
多く点眼すれば眼圧がさらに下がるという薬ではありません。 処方された方法を守って使用してください。
ロープレッサ®だけでなく、緑内障全体を見て治療を選びます
緑内障治療の目的は「新しい薬を使うこと」ではありません。 その患者さんに必要な目標眼圧へ近づけ、今後の視神経障害や視野障害の進行をできるだけ抑えることです。
眼圧
現在の眼圧と治療前からの推移を確認します。
OCT
視神経に関連する構造変化を過去の検査と比較します。
視野検査
実際の視機能が進行していないかを継続的に確認します。
緑内障の種類や進行度によっては、SLTなどのレーザー治療や緑内障手術を検討します。
福岡市中央区小笹の有田眼科で緑内障治療をご相談ください
有田眼科の緑内障診療
有田眼科では、ロープレッサ®などの点眼薬だけを見るのではなく、 眼圧、視神経、眼底、OCT、視野検査、隅角、過去からの進行速度などを総合して治療方針を考えます。
- 現在の眼圧と目標眼圧の確認
- OCTによる構造評価
- 視野検査による機能評価
- 現在の点眼薬と副作用の確認
- 必要に応じたSLTなどのレーザー治療
- 必要な場合の緑内障手術
医院情報
有田眼科
院長 有田 量一
〒810-0033
福岡県福岡市中央区小笹2丁目2-3
電話 092-707-2132
外来診療から日帰り手術まで幅広く対応しています。
有田眼科の診療案内を確認するロープレッサ®についてよくある質問
ロープレッサ®はもう発売されていますか?
はい。2026年8月17日に国内で発売されました。
2026年6月19日に国内製造販売承認を取得し、その後国内で発売されています。 使用するかどうかは緑内障の状態や現在の治療内容を確認して判断します。
ロープレッサ®はどのような緑内障点眼薬ですか?
ネタルスジルメシル酸塩を有効成分とし、ROCK阻害による線維柱帯流出促進とNET阻害による房水産生抑制作用によって眼圧下降を目指す薬です。
ロープレッサ®は1日何回点眼しますか?
1回1滴・1日1回です。 実際の点眼方法は処方時の指示に従ってください。
今使っている緑内障点眼薬から変更した方がよいですか?
新しい薬だから変更した方がよいとは限りません。 現在の眼圧、目標眼圧、OCTや視野の経過、副作用、現在使用している薬などを確認して判断します。
正常眼圧緑内障にも使えますか?
正常眼圧緑内障を含め、実際に使用するかどうかは現在の眼圧、目標眼圧、視野やOCTの進行、これまでの治療内容などから判断します。 「正常眼圧緑内障に特に効く薬」と断定できるものではありません。
ロープレッサ®で失った視野は戻りますか?
すでに緑内障で失われた視野を元に戻す薬ではありません。 眼圧を下げ、今後の緑内障進行をできるだけ抑えることが治療の目的です。
点眼で眼圧が十分に下がらない場合はどうしますか?
点眼薬の変更や追加だけでなく、緑内障の種類によってはSLTなどのレーザー治療や緑内障手術を検討します。
主な参考資料
2026年8月17日の国内発売、作用機序など。
参天製薬公式情報国内承認、効能・効果、国内第III相試験など。
参天製薬公式情報日本人を対象にネタルスジル0.02%とリパスジル0.4%を比較した第III相試験。
論文を確認するネタルスジルとチモロールを比較した海外臨床試験。
論文情報を確認する緑内障の診断・治療全般に関する診療ガイドライン。
現在の緑内障点眼で十分か気になる方へ
「眼圧が下がりにくい」「点眼薬が増えている」「副作用が気になる」 「ロープレッサ®が自分に適しているのか知りたい」といった場合もご相談ください。
有田眼科では、眼圧だけではなく、OCT・視野検査の経過、目標眼圧、現在の点眼薬などを確認しながら治療方法を考えます。
有田眼科 院長 有田 量一
〒810-0033 福岡県福岡市中央区小笹2丁目2-3
電話 092-707-2132