Disease

目の病気と治療

緑内障

 

緑内障とは知らないうちに視神経が障害され視野(見える範囲)が狭くなって視野が欠けてくる病気です。緑内障の怖いところは初期のうちは自覚症状がないということです。自覚症状を感じて受診された方は、時にかなり進行した緑内障のことがあり、進行しすぎているために手術等の積極的な治療が施せない方もいらっしゃいます。
 

 

眼球は目の組織に栄養や酸素を与える房水という水を産生しています。その水は毛様体という組織で作られ、その後は隅角にある線維柱帯という排水口を通って血液中に取り込まれていきます。この取り込みがうまくいかなくなると、目の中の水がうまく排水できなくなり、目の中の圧力が上がってしまいます(眼圧上昇)。
 

 

緑内障は眼圧上昇がエビデンスのある病因の一つです。眼圧とは目の中の圧力のことで、血圧と同じようにmmHgで表されますが、血圧と眼圧が相関するというわけではありませんので、血圧が高いからといって、眼圧が高くなることはありません。目の中の組織の中で視神経(視覚情報を脳に伝えていく神経の束)という箇所が圧力に弱く、緑内障は目の中の圧力によってこの視神経が障害されて発症する病気です。視神経が障害を受ける眼圧の値は個人差あり、眼圧が高くても全くダメージを受けない方もいれば、眼圧が正常より低くても徐々に神経がダメージを受けていく方もいらっしゃいます。緑内障の治療は、個々に応じてダメージが進行していかないような眼圧目標値を設定し、点眼等によって眼圧をされていくようなイメージとなります。
 

 

成人日本人における視覚障害の原因としては第1位であり、日本の大規模スタディ( 多治見スタディ) で40歳以上では約20人に1 人が緑内障にかかっていることが分かっています。緑内障によってダメージを受けた神経は治療を行っても元に戻ることはありませんので、まだ自覚症状が出ていないうちに緑内障を見つけ治療を開始することが重要になります。
 

 

緑内障を診断するために必要な検査

  • 視力
  • 眼圧検査
  • 眼底検査
  • OCT(三次元解析)
  • 視野検査
視力検査はモノを見る力を測定するものです。緑内障が進行してくると物を見る力が衰えていき視力が出なくなってしまいます。緑内障の進行の程度を確認するために必要な検査となります。眼圧検査は目の中の圧力を測定する検査です。緑内障の方にとっては非常に重要な検査になります。眼圧は血圧と同じように日々変動しますのでこまめに測定していく必要があります。時間帯や季節などによっても大きく変動することがあります。眼底検査は目の中の視神経の状態を確認するための検査です。緑内障になると視神経がダメージを受けて視神経の形態変化が生じてきます。この視神経の形態変化を観察することで、緑内障の進行や緑内障の程度を評価していきます。OCT(三次元解析)という検査は、緑内障によって目の神経がどれほどダメージを受けているかどうかを客観的に評価するための検査です。この検査は簡便かつ再現性の高い検査であり、緑内障の診断や進行の評価に欠かせない検査となります。この検査を行うことによって、緑内障が悪化傾向にあるのか、治療によって悪化をくいとめているのか判断するための根拠を得ることができます。視野検査は物を見る範囲を把握する力を評価する検査です。

放置してしまうと見える範囲が少しずつ狭くなっていきます。治療はそれ以上視野狭窄が進まないようにするために行います。まずは点眼薬で眼圧を下げる治療を行い、それでも目標とする眼圧に達しない場合は手術が必要となります。自覚症状のないうちに緑内障を発見し、治療を開始することが重要です。

主な症状
見えづらい など