硝子体手術を受けたことがある目の白内障手術は、
「水晶体」と「網膜」の両方を確認します
黄斑上膜、黄斑円孔、網膜剥離、 糖尿病網膜症などで硝子体手術を受けたあと、 時間の経過とともに白内障が進行することがあります。
白内障手術を検討する際は、 水晶体の濁りだけを見るのではなく、 以前の硝子体手術を行った理由、 現在の網膜・黄斑の状態、 使用したガスやシリコーンオイル、 眼軸長、眼内レンズ度数などを確認することが重要です。
ただし硝子体を手術していない目とは 眼内の環境が異なることがあります。 手術前に過去の手術内容と現在の網膜の状態を確認し、 白内障手術中も前房、水晶体嚢、チン小帯などの動きを 見ながら進めます。
なぜ硝子体手術のあとに白内障が進むのでしょうか
硝子体は、水晶体と網膜の間を満たしている透明な組織です。 硝子体手術では病気に応じてこの硝子体を切除し、 網膜や黄斑に対する治療を行います。
水晶体を残したまま硝子体手術を受けた場合、 その後に水晶体核の濁りが進み、 白内障によるかすみや視力低下が目立つことがあります。
硝子体手術後の眼内環境の変化
硝子体を取り除いた後は、 水晶体周囲の環境が手術前とは変化します。 こうした変化が核硬化型白内障の進行に 関係すると考えられています。
年齢による違い
硝子体手術後の白内障進行は、 特に中高年で問題になりやすいことが知られています。 若い方では水晶体を残す意味が大きい場合もあります。
眼内ガスを使用した場合
黄斑円孔や網膜剥離などでは、 硝子体手術時に眼内ガスを使用することがあります。 ガスを使用した症例で白内障進行が速くなることが報告されています。
網膜疾患そのものの変化、 黄斑浮腫、網膜の再剥離、 眼圧、角膜などでも見え方は変化します。 白内障と網膜を分けて確認することが重要です。
硝子体手術後の目は、通常の白内障だけの目と何が違いますか?
硝子体は水晶体の後方にあります。 硝子体を切除した目では、 水晶体後方からの支えや眼内の液体の動きが 手術をしていない目と異なる場合があります。
白内障手術中に前房が通常より深くなったり、 深さが変化したりする場合があります。
水晶体と虹彩の境界部分が 手術中の灌流や吸引の変化によって 前後に動きやすくなる場合があります。
水晶体後方の硝子体による支持が少ないため、 水晶体嚢の後面が通常とは異なる動きを示すことがあります。
以前の手術方法、原疾患、 水晶体嚢・チン小帯の状態、 眼軸長などによって違います。 「硝子体手術歴がある」という情報を手術前から把握することが大切です。
白内障手術前に「何のための硝子体手術だったか」を確認します
同じ硝子体手術歴でも、 黄斑上膜と網膜剥離では 白内障手術前に確認したい部分が異なります。
黄斑の形とゆがみを確認
黄斑上膜を除去した後も、 網膜の形態変化やゆがみが残る場合があります。 OCTで現在の黄斑を確認し、 白内障手術で改善を期待できる部分を考えます。
円孔が閉鎖しているか確認
OCTで黄斑円孔の閉鎖状態と 網膜外層の回復を確認します。 円孔が閉じていても、 中心部のゆがみや見えにくさが残ることがあります。
網膜が安定しているかを確認
どこに裂孔があったか、 黄斑まで剥離していたか、 現在網膜が安定しているかなどを確認します。
必要に応じて網膜周辺部まで散瞳して観察します。
出血・増殖膜・黄斑浮腫を確認
増殖糖尿病網膜症などで硝子体手術を受けた方では、 糖尿病網膜症が現在安定しているか、 黄斑浮腫がないかを確認します。
出血の原因を確認
糖尿病網膜症、網膜裂孔、 網膜静脈閉塞症など、 以前の出血原因によって術後管理が異なります。
「網膜剥離で手術した」 「目の中にガスを入れた」 「シリコーンオイルを入れた」 「術後にうつ伏せをした」など、 分かる範囲の情報をお伝えください。 紹介状や手術記録があれば診療の参考になります。
硝子体手術後の白内障手術前に確認する検査
白内障の度数を測るだけでなく、 網膜が現在安定しているか、 白内障以外の見えにくさが残っていないかを確認します。
視力・屈折検査
現在の裸眼視力・矯正視力を確認し、 眼鏡で改善できる部分と 白内障・網膜疾患による部分を考えます。
細隙灯顕微鏡検査
白内障の程度、 水晶体の揺れ、 水晶体嚢、虹彩、角膜などを確認します。
眼軸長・角膜測定
白内障手術で使用する眼内レンズの 度数を計算するために測定します。
黄斑OCT
黄斑上膜術後、黄斑円孔術後、 糖尿病黄斑浮腫などでは特に重要です。 黄斑の現在の形を断層画像で確認します。
散瞳眼底検査
網膜剥離や裂孔の既往がある方では、 黄斑だけでなく網膜周辺部の状態も確認します。
眼圧・視神経
硝子体手術後に眼圧の問題があった方や 緑内障を合併している方では、 眼圧・視神経も確認します。
ガスやシリコーンオイルを使用したかも重要な手術情報です
網膜剥離や黄斑円孔などの硝子体手術では、 病状に応じて眼内へ空気、医療用ガス、 シリコーンオイルなどを使用する場合があります。
空気・ガス
時間の経過とともに吸収されますが、 何の病気で使用したかは 網膜の手術歴を理解する重要な情報です。
シリコーンオイル
網膜の状態によって一定期間眼内へ留置することがあります。 現在も眼内に残っている場合は、 通常の白内障だけの目とは手術計画が異なることがあります。
現在の網膜状態
過去に何を入れたかだけでなく、 現在網膜が安定していることを確認して 白内障手術の時期を考えます。
白内障手術のみを行うのか、 シリコーンオイルの扱いを含めた網膜治療が必要なのかは、 原疾患と現在の網膜状態によって異なります。 有田眼科での対応範囲を診察で確認し、 必要な場合は対応可能な医療機関との連携を検討します。
白内障手術をする前に、網膜が安定していることを確認します
硝子体手術によって網膜疾患を治療した後でも、 白内障手術前には現在の状態を改めて確認します。
黄斑の状態
黄斑上膜や黄斑円孔の手術後では、 OCTで黄斑の形態と網膜外層を確認します。
網膜周辺部
網膜裂孔・網膜剥離の既往があれば、 必要に応じて周辺網膜を確認します。
再治療の必要性
網膜の状態が不安定な場合は、 白内障手術より網膜治療を優先することがあります。
白内障を取り除けば水晶体の濁りは改善しますが、 黄斑や網膜によるゆがみ・中心部の見えにくさなどは 残る可能性があります。 手術前に白内障と網膜の影響を分けて考えます。
硝子体手術後の白内障手術で意識するポイント
白内障手術の基本は、 濁った水晶体を超音波で処理して取り除き、 残した水晶体嚢へ眼内レンズを挿入する方法です。
硝子体手術後の目では、 以前の手術による眼内環境の変化を考慮しながら 一つひとつの操作を確認します。
前房の深さを見る
灌流開始後に前房が深くなりすぎたり、 深さが変動したりしていないか確認します。
水晶体嚢の動きを見る
前嚢を開く際に、 水晶体嚢やチン小帯が安定しているかを確認します。
超音波・吸引を調整
白内障の硬さと眼内の状態に合わせ、 超音波、灌流、吸引を調整します。
後嚢の位置を意識
水晶体核や皮質を処理するときは、 後嚢の動きを確認しながら操作します。
皮質を丁寧に除去
水晶体嚢やチン小帯へ無理な力を加えないよう 残存皮質を確認して吸引します。
眼内レンズの固定を確認
水晶体嚢の支持が十分かを確認し、 眼内レンズを予定位置へ安定して固定できるか判断します。
水晶体嚢やチン小帯の状態が予想と異なる場合は、 安全性を優先し、 眼内レンズの固定位置や追加処置を変更することがあります。
硝子体手術後では、後嚢・チン小帯の状態も慎重に確認します
白内障手術では、 水晶体の外側の袋である「水晶体嚢」を残し、 通常はその中へ眼内レンズを入れます。
硝子体手術後の目では症例によって、 水晶体を支えるチン小帯や後嚢の動きが 通常とは異なることがあります。
チン小帯
水晶体が過度に揺れないか、 水晶体嚢が安定しているか確認します。
後嚢
水晶体の後面を支える薄い膜です。 水晶体を処理する際は後嚢の位置・動きを確認します。
眼内レンズ
水晶体嚢が安定していることを確認してから、 適切な位置へ挿入します。
そのため、手術中に状態を確認しながら 必要な場合には計画を変更できることが重要です。
眼内レンズの度数計算と、手術後に期待する見え方
白内障手術では、 眼軸長や角膜の屈折力などを測定して 眼内レンズの度数を計算します。
硝子体手術歴がある方では、 以前の網膜疾患、眼軸長、 網膜の形態、過去の手術内容などを確認したうえで 目標とするピント位置を検討します。
眼軸長を測定
白内障手術で使用する 眼内レンズ度数計算の重要な測定値です。
黄斑の状態を確認
網膜疾患によって視機能が制限されている場合、 眼内レンズだけで見え方を考えることはできません。
生活上の希望を確認
遠方、中間、近方のうち どの距離を重視するか、 反対眼とのバランスも含めて考えます。
硝子体手術歴がある目でも術前測定から度数を計算しますが、 手術後に予測との差が生じる可能性があります。 網膜疾患による見え方の限界も含めて術前に考えます。
白内障手術後に「かすみは取れたけれど、ゆがみが残る」ことがあります
硝子体手術後の患者さんでは、 白内障と網膜疾患の両方が 見え方へ影響していることがあります。
白内障手術で改善を目指す部分
- 水晶体の濁りによるかすみ
- 白内障によるまぶしさ
- 水晶体混濁による視力低下
- 濁りによるコントラスト低下
網膜の状態によって残る可能性がある部分
- 黄斑上膜術後のゆがみ
- 黄斑円孔術後の中心部の見えにくさ
- 網膜剥離後の視力・視野の変化
- 糖尿病黄斑浮腫による中心視力低下
水晶体を透明にすることと、 網膜機能を元に戻すことは別の治療です。 白内障手術で改善を期待できる範囲を 網膜の状態と合わせて説明します。
以前に網膜剥離の手術を受けた方
網膜剥離が治療されて安定している目でも、 白内障手術前には現在の網膜状態を確認します。
白内障手術後に網膜剥離が再び起こる可能性を 完全にゼロにはできません。 そのため手術後も飛蚊症、光視症、 視野の影などへ注意します。
何年前の手術であっても、 網膜剥離・網膜裂孔・硝子体手術の既往は 白内障手術前にお知らせください。
有田眼科では白内障手術と網膜硝子体手術の両方に対応しています
有田眼科では、 白内障手術に加えて網膜硝子体手術にも対応しています。
硝子体手術歴がある方の白内障手術では、 水晶体だけでなく網膜・黄斑の状態も確認し、 必要な検査と手術計画を検討します。
コンステレーション
ビジョンシステム
有田眼科で導入が確認できる 白内障・網膜硝子体手術装置です。
27G硝子体手術
有田眼科では、 細い器具を用いた小切開硝子体手術に対応しています。
RESIGHT
硝子体手術中に 網膜を広い範囲で観察するための 広角観察システムを導入しています。
病状、緊急性、過去の手術内容によっては、 手術を受けた医療機関や大学病院など 対応可能な医療機関との連携を検討します。
白内障手術後に、予約日を待たず相談したい症状
硝子体手術歴がある方では、 白内障手術後も網膜・黄斑の異常を意識することが大切です。
- 急に黒い点や糸くずのような影が増えた
- 黒い煙やススのようなものが広がった
- 稲妻のような光が繰り返し見える
- 視野にカーテン・幕のような影が出た
- 視野の一部が急に欠けた
- いったん見えていたのに急に視力が低下した
- 中心部が急にゆがむ、暗くなる
- 強い目の痛みや充血が出た
このような症状は、 網膜裂孔・網膜剥離、 黄斑の異常、眼圧上昇、 眼内炎症・感染などを確認する必要があります。 次回予約まで待たずにご相談ください。
硝子体手術後の白内障手術についてよくある質問
硝子体手術を受けると白内障になりますか?
水晶体を残して硝子体手術を行った後は、 白内障が進行することがあります。 特に中高年では核硬化型白内障の進行が問題になりやすいことが知られています。 ただし進行の程度や時期には個人差があります。
硝子体手術後でも白内障手術はできますか?
手術を検討できる場合があります。 以前の手術の原因、 網膜・黄斑の現在の状態、 水晶体嚢・チン小帯、 眼軸長などを確認して手術計画を立てます。
普通の白内障手術より難しいのですか?
すべての症例で難しくなるわけではありません。 ただし硝子体を切除した目では、 前房が深くなったり変動したり、 水晶体・虹彩・後嚢が通常とは異なる動きをする場合があります。 そのため手術中の状態を確認しながら操作します。
黄斑上膜の手術後ですが、白内障手術をすればゆがみも消えますか?
白内障手術は水晶体の濁りを取り除く手術です。 黄斑上膜によって生じた網膜の変化や 残っているゆがみを直接治療するものではありません。 OCTで黄斑を確認したうえで、 白内障手術で改善を期待できる範囲を考えます。
黄斑円孔の手術後です。白内障手術前に何を調べますか?
白内障の程度に加えて、 OCTで黄斑円孔が閉鎖しているか、 黄斑中心部がどの程度回復しているかを確認します。 必要に応じて網膜周辺部も確認します。
網膜剥離の手術後ですが、白内障手術で再び剥がれることはありますか?
網膜剥離が再発する可能性を完全にゼロにはできません。 そのため手術前に現在の網膜を確認し、 手術後も急な飛蚊症、光視症、 カーテン状の視野異常などがあれば 早めに眼底検査を行います。
昔、目の中にガスを入れたと言われました。伝える必要がありますか?
はい。 以前ガスを使用したことは、 黄斑円孔や網膜剥離など 過去の手術内容を理解する手がかりになります。 分かる範囲でお伝えください。
シリコーンオイルがまだ目の中に入っています。白内障手術はできますか?
網膜の状態とシリコーンオイルを留置している目的によって 手術計画が異なります。 白内障だけを判断せず、 網膜の状態と今後の治療予定を確認して 個別に判断します。
硝子体手術後だと眼内レンズの度数はずれますか?
術前測定から眼内レンズ度数を計算しますが、 どの目でも術後の屈折が予測値と完全に一致する保証はありません。 硝子体手術歴がある方では、 眼軸長、網膜の状態、以前の手術内容なども確認して計算します。
硝子体手術後でも多焦点眼内レンズを選べますか?
硝子体手術を受けたという事実だけで 一律に決めるものではありません。 手術の原因となった網膜・黄斑疾患、 現在のOCT、視神経、角膜、 必要な見え方などを確認して 眼内レンズを検討します。
以前の硝子体手術の資料を持っていません。受診できますか?
受診できます。 分かる範囲で、 何の病気だったか、 何年ごろ手術したか、 ガスやシリコーンオイルを使用したかなどをお伝えください。 必要な情報があれば、以前の医療機関との情報共有を検討します。
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以前に硝子体手術を受けた方も、網膜まで確認して白内障手術を考えます
福岡市中央区小笹の有田眼科では、 白内障の濁りだけでなく、 以前の硝子体手術の原因、 網膜・黄斑OCT、眼底、眼圧、 水晶体嚢・チン小帯などを確認して 白内障手術を計画します。
黄斑上膜、黄斑円孔、網膜剥離、 糖尿病網膜症などで以前に手術を受けた方は、 分かる範囲で手術内容をお知らせください。
有田眼科 院長 有田 量一
〒810-0033 福岡県福岡市中央区小笹2丁目2-3