2026.09.09
疾患について
緑内障のOCT検査 結果の見方から視野検査との違いまで詳しく解説
緑内障のOCT検査 結果の見方から視野検査との違いまで詳しく解説
「OCTで赤いところがあります」「神経が薄くなっています」と説明され、 緑内障なのか、進行しているのか不安になったことはありませんか。 OCTは緑内障診療に欠かせない検査のひとつですが、 OCTだけで緑内障を診断したり、進行を判断したりするわけではありません。 視神経、眼圧、眼底、視野検査、隅角、そして過去からの変化を組み合わせて評価することが重要です。
有田眼科YouTube「緑内障OCT結果説明」
有田眼科では、診察室だけでは理解しにくいOCT検査について、 YouTubeでも結果の見方を説明しています。 検査結果を受け取った患者さんが「この色は何だろう」 「このグラフは何を見ているのだろう」と感じたときに、 ご自宅でも確認できるようにすることが動画の大きな目的です。
有田眼科YouTube「緑内障OCT結果説明(初)」
動画を見るときに押さえていただきたいポイント
図解|OCTと視野検査は何が違う?
緑内障の検査を理解するうえで最も大切なのが、 「構造」と「機能」を分けて考えることです。
OCT検査では具体的にどこを見ているの?
RNFL|網膜神経線維層
網膜神経線維層は、網膜の神経節細胞から伸びた神経線維が 視神経へ向かって集まる層です。
緑内障では特定の方向の神経線維が薄くなり、 OCTでその変化を捉えられることがあります。 視神経乳頭の周囲を円形に測定して表示する解析がよく用いられます。
GCC・GCIPL|黄斑部の神経節細胞系
黄斑部は「ものを見る中心」に相当する重要な場所です。 神経節細胞が多く集まっているため、 黄斑部の神経層を解析することも緑内障評価に役立ちます。
OCT機器によってGCC、GCIPLなど解析する層や表示方法が異なります。
視神経乳頭
視神経乳頭は、網膜から集まった神経線維が眼球を出て 脳へ向かう「出口」です。
緑内障では視神経乳頭の陥凹が拡大するなど、 特徴的な変化がみられることがあります。 OCTだけでなく眼底写真や診察所見も合わせて評価します。
厚みマップ・偏差マップ・グラフ
OCT結果には、神経層の厚みを色で表示するマップ、 正常データベースからどの程度外れているかを示すマップ、 RNFLの厚みを円周方向に並べたグラフなどがあります。
医師はひとつの数字だけを見るのではなく、 障害の場所・形・左右差・過去からの変化を確認します。
OCTの「緑・黄・赤」はどう理解すればよい?
OCTでは、測定値を機器に登録された正常データベースと比較し、 色分けして表示することがあります。

図解|OCTの異常と視野の異常は場所が対応することがあります
緑内障では、網膜・視神経の障害部位と視野障害の場所に 一定の対応関係があります。
ただし、人の目の構造には個人差があり、 OCTと視野がいつもきれいに一対一で一致するわけではありません。 その「一致するところ」と「一致しないところ」の両方を確認することが、 緑内障診療では大切です。
重要|OCTだけでは緑内障を判断できないことがあります
OCTは非常に高性能な検査ですが、万能ではありません。 検査結果を読むときには、OCTそのものの限界も理解しておく必要があります。
強度近視
強い近視では眼球の形や視神経乳頭の形が通常とは異なり、 RNFLの分布も変化することがあります。 そのため正常データベースとの比較だけでは 「赤」が増えて見えることがあります。
撮影・解析のエラー
瞬き、眼球運動、画像の中心ずれ、信号強度の低下などで 測定値が変わる場合があります。 神経層の境界を機械が誤って認識する セグメンテーションエラーにも注意が必要です。
網膜上膜など別の網膜疾患
網膜上膜、後部硝子体の状態などによっても 黄斑部やRNFLの測定に影響が出ることがあります。 OCT異常がすべて緑内障によるものとは限りません。
進行した緑内障のフロア効果
緑内障が進行するとRNFLがかなり薄くなり、 それ以上の変化をOCTで捉えにくくなることがあります。 このような場合には視野検査による機能評価がより重要になります。
だから視野検査が重要です
OCTが神経の「構造」を評価するのに対して、 視野検査は患者さんが実際にどこまで見えているかという 「機能」を調べます。
緑内障で最終的に問題になるのは、 視神経障害によって日常生活に必要な視野が失われていくことです。 そのため、OCTだけを追いかけるのではなく、 視野が保たれているか、変化していないかを定期的に確認します。
OCTが先に変化する場合
視野検査で明らかな異常が確認される前から、 OCTで神経線維層などの構造変化を捉えられる場合があります。
視野が特に重要になる場合
緑内障が進行してOCTのRNFL測定がフロアに近づくと、 その後の変化をOCTだけでは判断しにくくなることがあります。
両方を見る理由
構造と機能は完全には同じ動きをしないため、 OCTと視野検査を組み合わせることで、 片方だけでは分かりにくい変化を確認できます。
1回のOCTではなく「経時変化」を見る
緑内障診療では、現在のOCTが正常か異常かだけではなく、 時間とともに神経組織が減っているのかを見ることが重要です。

文献から考える|なぜOCTと視野の両方を見るのか
OCTの進歩によって、緑内障の構造障害を客観的・定量的に評価できるようになりました。 一方、研究を見ても「OCTだけで十分」という結論にはなっていません。
眼圧が正常でもOCT・視野検査が必要になる理由
「眼圧が正常だから緑内障ではない」と思われることがありますが、 日本では正常範囲とされる眼圧でも視神経障害が進む 正常眼圧緑内障が多くみられます。
そのため、眼圧は非常に重要な情報ではあるものの、 眼圧だけで緑内障を否定することはできません。
眼圧
視神経へかかる負担を考える重要な危険因子です。
OCT・眼底
視神経や神経線維の「構造」を確認します。
視野
視神経障害が実際の「見える機能」にどう影響しているかを確認します。
気になったら、まずは眼科検診を
緑内障の難しいところは、 初期には自分で視野の欠けに気づきにくいことです。 両眼で物を見ていると、一方の目の見えにくい部分を もう一方の目が補ってしまうこともあります。
日本の多治見スタディでは、 40歳以上の日本人の緑内障有病率は約5%と報告されています。 「見えているから大丈夫」と考えるのではなく、 気になる方は一度眼科で確認することをおすすめします。
特に検査を考えたい方
- 40歳以上で、しばらく眼科検診を受けていない
- 健診や人間ドックで視神経乳頭陥凹などを指摘された
- 眼圧が高いと言われたことがある
- ご家族に緑内障の方がいる
- 強い近視がある
- 視野が欠ける、片側を見落とすことが増えた
- 以前緑内障疑いと言われたが、その後検査を受けていない
緑内障がある方の白内障手術でもOCT・視野は重要です
白内障と緑内障は、どちらも「見えにくさ」の原因になりますが、 病気が起こっている場所は異なります。
白内障
目の中の水晶体が濁る病気です。 かすみ、まぶしさ、視力低下などが起こり、 白内障手術では濁った水晶体を取り除いて眼内レンズへ置き換えます。
緑内障
視神経が障害され、視野が失われていく病気です。 白内障手術を行っても、 すでに緑内障によって失われた視野が元に戻るわけではありません。
そのため緑内障のある方が白内障手術を受ける場合には、 白内障の程度だけを見るのではなく、 眼圧、視神経、OCT、視野検査、隅角、 これまでの緑内障の進行速度などを確認することが重要です。
病状によっては、白内障手術だけを行う場合もあれば、 緑内障手術を同時に検討する場合もあります。 どの方法が適しているかは緑内障の種類や進行度によって異なります。
有田眼科の緑内障診療・手術について
福岡市中央区小笹の有田眼科では、 緑内障を眼圧だけで判断せず、 視神経、眼底、OCT、視野検査、隅角などを組み合わせて評価しています。
治療では病状に応じて点眼治療、レーザー治療、 緑内障手術などを検討します。 手術が必要かどうかは、 現在の眼圧だけではなく、 OCT・視野の進行、目標眼圧、白内障の有無などから判断します。
緑内障OCTについてよくある質問
OCTで赤いところがあれば緑内障ですか?
OCTが正常なら視野検査は不要ですか?
視野検査が正常なら緑内障ではありませんか?
眼圧が正常でも緑内障になることがありますか?
なぜ何度もOCTを撮るのですか?
強い近視があるとOCT結果に影響しますか?
緑内障があると白内障手術は受けられませんか?
まとめ|OCTを「色」だけで判断しないことが大切です
- OCTでは視神経・網膜神経線維などの「構造」を調べます
- 視野検査では実際の「見える機能」を調べます
- OCTだけ、視野だけ、眼圧だけでは判断できないことがあります
- 一度の結果ではなく、過去からの変化を見ることが重要です
緑内障は初期には自覚症状が少ないことがあります。 OCT結果が気になる方だけでなく、 健診で視神経の異常を指摘された方、 40歳以降で長く眼科検診を受けていない方、 ご家族に緑内障の方がいる方などは、 一度眼科で詳しく確認してみることをおすすめします。
まずは現在の目の状態を確認しましょう
福岡市中央区小笹の有田眼科では、 必要に応じて眼圧、眼底、視神経、OCT、視野検査などを組み合わせ、 緑内障の有無や進行状態を確認します。
OCTの結果を見てもよく分からなかった方、 健診で緑内障を疑われた方、 現在の治療で視神経や視野が安定しているか確認したい方もご相談ください。
主な参考資料
OCT結果を緑内障診療につなげる
OCTだけで判断せず、視野・病型・進行速度も合わせて評価します。
執筆・医学的内容の確認:有田眼科 院長 有田 量一